公開日:2026年7月10日

国旗をめぐる表現は処罰されるのか。美術評論家連盟有志が「国旗損壊罪」に反対

表現活動を萎縮させるおそれがあるとして、法案の新設に反対している

美術評論家連盟の有志48名は7月9日、共同意見「表現の自由を制約する国旗損壊罪の新設に反対します」を発表した。国旗を用いた芸術表現や政治的表現への制約につながり、表現活動を萎縮させるおそれがあるとして、法案の新設に反対している。

対象となっているのは、自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党の議員が共同提出した「国旗の損壊等の処罰に関する法律案」。同法案は、「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法」により、公然と国旗を損壊、除去、汚損した者に、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金を科すものだ。6月30日に衆議院で可決され、現在は参議院で審議されている。

共同意見では、すでに他人の所有物を壊す行為は器物損壊罪によって処罰できることや、「国旗を大切に思う国民感情」という保護対象が曖昧であることを指摘。処罰の対象となる行為と、対象外となる行為の境界が不明瞭で、判断が恣意的になる可能性があると訴えている。

また国旗は、絵画や写真、映像、インスタレーション、パフォーマンスなど、様々な芸術表現に用いられてきたと説明。創作物は処罰の対象外とされているものの、芸術表現と思想的、政治的な表現を明確に区別することは困難だとする。

法案が成立すれば、国旗を使用する表現自体が避けられるようになり、国家に批判的な表現が排除される風潮につながりかねないと指摘。美術館などが所蔵する過去の作品についても、展覧会への出品を自主規制する動きが強まり、鑑賞者が作品に触れる権利が制限されるおそれがあるとしている。

美術評論家連盟有志は、「個人が芸術表現はもとより、自己の思想を表明し、政治的な主張を公共空間で自由に行えるようにすることは、民主主義社会の根本原則に関わる」と強調。芸術の表現と鑑賞をめぐる自由を守るため、国旗損壊罪の新設に反対すると表明している。

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