公開日:2026年3月6日

国立博物館・国立美術館の次期中期目標。文化庁が「再編」「二重価格」など、「特に質問の多い内容」について回答

数値目標の設定や、二重価格導入の理由、目標未達の場合の「再編」の意味するところは?

東京国立博物館外観

文化庁は、文部科学省が策定した国立美術館、国立科学博物館、国立文化財機構の次期中期目標について、問い合わせが相次いでいることから、「特に質問の多い内容」についての回答をオフィシャルサイトで公開した。

2月27日に策定された次期中期目標の期間は、令和8年度(2026年度)からの5年間。目標では、収支に関する数値目標が定められ、2029年度時点で展示事業費に対する入館料などの自己収入の割合が4割に満たなかった場合に「再編」の対象となることや、入館料の引き上げ、訪日客は入館料が割高になる「二重価格」の導入なども盛り込まれた。

文化庁は今回の中期目標について、「我が国の文化芸術の伝承や、我が国の文化芸術の『顔』として、これまで以上にナショナルセンターとしての存在感を国内外に示すため、展示スペースの拡充や所蔵作品の充実を図りながら、戦略的に取り組んでいくための目標としました」と説明。

現在、展示費用の50%ほどである自己収入を65%以上とする数値目標の設定については、あくまで「収集・保管」「教育普及」「調査研究」「展示」という国立博物館・美術館の4つの事業のうち、「展示」事業に対してのみ自己収入の数値目標が設けられるとし、それは「各館の創意工夫により収入を増やし、良質な鑑賞者サービスの提供につなげるため」だと述べている。さらにその他3つの業務「収集・保管」「教育普及」「調査研究」については、「しっかりと国の予算を措置してまいります」とした。

また「『再編』については、『閉館』を想定しているものではありません」と強調。加えて、展示収入が4割未満であったことのみをもってただちに「再編」の対象となるのではなく、中期目標に記載の通り、「『社会的に求められている役割を十分に果たせていないと考えられる館』について、各館の役割分担等を見直すことで法人全体の機能強化を図るもの」だと説明している。

入場料の見直しと二重価格の導入の動機としては、近年の物価高騰による展示費用増加の影響に加え、魅力的な展示や多言語対応といったより良い鑑賞環境を提供するうえで必要な対応を行うことなどが挙げられている。

さらに、中期目標で検討されている文化財の長期展示によるダメージへの懸念については、来館動機につながる展示強化の一環として展示期間の拡充を含めた多様な鑑賞機会の確保を目指すいっぽうで、長期間の展示に耐えうる作品とそうでない作品を区別し、「作品保護の観点から最大の配慮を払った上で多くの鑑賞機会を確保する」としている。

また収入を増やすことにより国費が減らされるのではないかとの質問に対しては、令和8年度の政府予算案では国立美術館、国立科学博物館、国立文化財機構の運営交付金などに、これまで以上に充実した措置を盛り込んでいるとし、「引き続き、しっかりと必要な予算の確保に努めてまいります」と回答した。

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