映像を用いたインスタレーションなどを手がけるアーティストの青柳菜摘の詩集『そだつのをやめる』が、第28回中原中也賞を2月19日に受賞した。
2016年に東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻を修了し、多層的な語りを映像表現やインスタレーションを通して組み立てる青柳は、これまでNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]や十和田市現代美術館で様々な作品を発表。美術家としての活動と併行してキャリア初期から詩を中心とした文筆活動も続けてきたが、現代詩の登竜門として知られる同賞の受賞は大きなステップとなるだろう。贈呈式は中原中也の誕生日である4月29日に山口市で行われる。
『そだつのをやめる』は、これまでも青柳がたびたび主題としてきたチョウなどの虫をはじめとする、多層的な視点で事象を捉えた作品で、選考委員からは「人間として存在するということは一体どういうことなのかを相対化して見せてくれる、そういう視点に満ちている」(蜂飼耳)、「昆虫の台詞の真相はわからないけど、そういうこともあるかもしれないというような感覚に我々を運び込む」(荒川洋治)とのコメントが寄せられた。
※コメントはKRY山口放送の記事より引用
青柳は、今年1月に神楽坂に移転したブックショップ「コ本や honkbooks」を中島百合絵と共同で主宰するなど、広義のメディア表現にかかわる活動を続けている。今後のより一層の活躍を期待したい。