岡田利規 ©︎ 宇壽山貴久子
第35回三島由紀夫賞の選考会が東京都内で開かれ、チェルフィッチュ主宰である演劇作家・小説家の岡田利規による「ブロッコリー・レボリューション」が受賞した。
同作は『新潮』2022年2月号に掲載された作品で、タイ・バンコクを舞台に東京から同都市へと逃げた「きみ」について「ぼく」が述懐する形式のサスペンス小説(こちらで冒頭部分を公開中)。岡田は2008年にも「わたしたちに許された特別な時間の終わり」で大江健三郎賞を受賞するなど、舞台作品と併走的に書かれた小説・評論などでも高い評価を受けている。今回の受賞作を収録した15年ぶりの小説集も6月末に刊行予定だ。
同じくバンコクを主な舞台にタイと日本のアーティストたちと作った『プラータナー:憑依のポートレート』(2018年初演)や、ドイツの公立劇場ミュンヘン・カンマーシュピーレのレパートリー作品として制作し、「ドイツ語圏で最も注目すべき10作品」に選出された『THE VACUUM CLEANER』(2019年初演)など、国内外で大きな注目を集める岡田。そのさらなる活動の広がりに期待したい。