公開日:2016年1月29日

イベントレポート「親子でアートを楽しもう in 練馬区立美術館」

Tokyo Art Beat初の試みとなる親子向けのワークショップを開催しました。

Tokyo Art Beat初の試みとなる、親子向けのワークショップが開催されました。会場となったのは、昨年で開館30周年を迎えた練馬区立美術館。施設の前の緑地にはかわいらしい動物の彫刻が並び、親子連れの姿も多く見られます。

緑地の入り口で出迎えてくれるクマ

2月7日(日)まで開催中の『浜田浄の軌跡—重ねる、削る 絵画』を親子で鑑賞する今回のワークショップに、3組の親子が参加してくれました。
それぞれネームシールを付けて参加

13時30分、ワークショップがスタート。まず小学校の図工室のような雰囲気の創作室に通された参加者に、さっそく学芸員の真子みほさんから質問が。
「みなさん、自分が作った作品に名前をつけたことはありますか?」
子どもたちは首を縦にふる一方、うーんと首をかしげる大人たち。「つけてた覚えはあるけど…」といった様子。そこで、タイトルとは何か理解するために、あるゲームをしました。練馬区立美術館が所蔵する作品カードが6枚配られ、タイトルが書かれたシートに正しく並べる、というもの。名付けて「家族対抗!タイトル当てゲーム」。

家族会議中
学芸員 真子みほさん


第1ラウンドの作品は「具象画」、タイトルと絵画のモチーフが一致している作品でした。みんな大正解!
次の第2ラウンドに配られたのは「抽象画」。こちらは残念ながら全問正解者は現れず。まず作品が何に見えるか、自由な議論が交わされました。焼き芋やブラックホール、トランプに見えるという意見が出た作品のタイトルは《untitled 92.7》(辰野登恵子・作)だったり、ドラえもんの手のように見える絵が《景色》(小野木学・作)というタイトルだったり… 次に、なぜそのタイトルがつけられたのか考えました。例えば田舎の風景を描いたような《夢》(榑松正利・作)という作品。作者が見たのはどんな夢なのか。工場の跡地?廃墟?なんだか寂しそう。時間帯は?夜?昼?など。タイトルを聞くと、作品に対するイメージがどんどん変わっていくことに気がついた参加者たち。真子さんは、タイトルとは作品にこめられた作家から見る人へのメッセージだといいます。

展示室内

いよいよ『浜田浄の軌跡—重ねる、削る 絵画』の展示室へ。まずはタイトルに注目しながら一周し、気がついたことを報告します。
「数字ばっかり」「言葉をつかったタイトルがほとんどない」
タイトルをつけるという行為について、「戦国時代の茶碗のように、タイトルは作品を気に入った人がつければいい」と考える浜田浄さんの作品は、シンプルなものがとても多いのです。そこで、真子さんから参加者たちに配られたのはワークシートと鉛筆。出された課題は
1. 既存タイトルを記入し、
2. 作品を見て気がついたことを書き込み、
3. 新しいタイトルを考えること。
作品の前に座り込みじっくり観察するお父さん、何やら独り言が止まらない子、たくさんの作品のタイトルをつける子、それぞれ思い思いに記入していきます。
ワークシート記入中

そして、自分が選んだ作品についてプレゼンしていきます。
・「机いっぱいに溢れた牛乳」「冷たいごはん5人分」といった食べ物が入ったタイトル
・「マグマ」「電波発信」「東京大空襲」など光をイメージさせるタイトル
・「トラの模様」「暗闇のコウモリ」といった模様を意識したタイトル
それぞれがいろいろな角度から作品を観察して捻り出したタイトルに、みんな感嘆詞をもらしつつ、頷きながら発表を聞いていました。
プレゼン風景

「タイトルとは」という切り口で進められた今回のワークショップ。作品の横にあるキャプションを見て、また作品に視線を戻し、次の作品へ行く、という普段無意識にやっていた自分の行動や思考回路を辿り直してみる、個人ではできない鑑賞体験となりました。「タイトルは自分で考えていい」アートの新しい楽しみ方を学んだワークショップでした。

当日の様子をまとめた動画はこちら。

[TABインターン] 猿渡さとみ: 大学4年生。スターウォーズの大ファン。推しメンがR2-D2と、あざとさMAXのBB-8の間で揺れる今日この頃。

TABインターン

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