公開日:2018年9月5日

そとのあそび展 ~ピクニックからスケートボードまで~ フォトレポート

SIDE CORE共同企画: Chim↑Pom、路上観察学会らが参加。市原湖畔美術館にて7月14日から開催

snipe1 《aZONING》 インスタレーションビュー
snipe1 《aZONING》 インスタレーションビュー
エントランスを彩る、snipe1のグラフィティ。手前の常設彫刻KOSUGE1-16による《Heigh-Ho》を取り囲み、世界中のグラフィティの画法を組み合わせ、禅画へのオマージュもしつつ描かれている

『そとのあそび展 ~ピクニックからスケートボードまで~』が千葉県の市原湖畔美術館にて7月14日から開催されている。今回の展覧会は、美術館とアーティストコレクティブのSIDE COREとの共同企画となっている。オープニングレセプションは三連休の初日ということもあり、都心からのアクアラインの渋滞でアーティストが到着しないというアクシデントもあったが、夏真っ盛りの日差しの下、参加作家の高橋臨太郎が小舟の上から行うライブパフォーマンスを楽しみつつ始まった。

オープニングの挨拶をする参加作家たち
オープニングの挨拶をする参加作家たち
参加作家は、EVERYDAY HOLIDAY SQUAD、小畑多丘、菊地良太、木村崇人、snipe1、切腹ピストルズ、高田光、高橋臨太郎、Chim↑Pom、東京ピクニッククラブ、宮原嵩広、森田貴宏、森山泰地、路上観察学会(50音順)

オープニングアクトとして、ギター演奏をする高橋臨太郎
オープニングアクトとして、ギター演奏をする高橋臨太郎

高橋臨太郎 《誰もいない土地》
高橋臨太郎 《誰もいない土地》
展示期間中のみ現れた流木を集めて作られた小島。小島が現れることで起こる自然の変化が人間の行動にも影響してゆく作品。

森山泰地 《water》
森山泰地 《water》
写真右手に冷たい水の入ったペットボトルがあり、観客は自由に飲める。飲み終わったボトルは鉄カゴに貯めていく。また鉄カゴから拾った石は、写真左手の水の中へも移動可能。観客が作品を変えていく

森田貴宏 《フリーハンド(freehand)》
森田貴宏 《フリーハンド(freehand)》
プロのスケートボーダーとしても活躍する森田(写真右)がスケートボードで作り上げたモノクロームな空間では、参加者は自由に遊べる。オープニングでは、子どもたちが大はしゃぎしながらスケートボードやバランスボールと戯れていた。ちなみに森田の父は書家。今回は初めて制作した「書」の作品を父がどのように見るのかも楽しみだという

小畑多丘 《浮く野菜outside》
小畑多丘 《浮く野菜outside》
B-BOY彫刻家としても知られる小畑多丘の映像作品。ありとあらゆる野菜を浮かせてゆく。アーティスト自身がブレイクダンサーでもあり、自身の身体における重力と、彫刻家としての重力との関係から生まれた、重力を超越していく野菜たち

EVERYDAY HOLIDAY SQUAD
EVERYDAY HOLIDAY SQUAD
外来種のオオクチバス(通称ブラックバス)を美術館の向かいの湖から釣り上げるのにも、行政とのやりとりが必要。そのやりとり自体やブラックバスを日本に輸入した人物の背景などを壁画にしている

北川フラム(アートディレクター)による挨拶
北川フラム(アートディレクター)による挨拶
「何もかも排除をしていくのではなく、公共施設の周りに集まるスケートボーダーのような若者たちの存在は必要。彼らの存在があってこそ治安バランスも取れ、彼らを通じて街とコミュニケーションが作られ、風景は作られていく。」といった内容のスピーチ。「そとのあそび」を通じて、公共とは何かを考えさせられる展覧会となっている

他にも多種多様な作品群が市原湖畔美術館のあちこちに溢れかえる、見応えのある展覧会となっている。また展示期間中は各種イベントも開催している。

yumisong

ふにゃこふにゃお。現代芸術家、ディレクター、ライター。 自分が育った地域へ影響を返すパフォーマンス《うまれっぱなし!》から活動を開始し、2004年頃からは表現形式をインスタレーションへと変えていく。 インスタレーションとしては、誰にでもどこにでも起こる抽象的な物語として父と自身の記憶を交差させたインスタレーション《It Can’t Happen Here》(2013,ユミソン展,中京大学アートギャラリーC・スクエア,愛知県)や、人々の記憶のズレを追った街中を使ったバスツアー《哲学者の部屋》(2011,中之条ビエンナーレ,群馬県)、思い出をきっかけに物質から立ち現れる「存在」を扱ったお茶会《かみさまをつくる》(2012,信楽アクト,滋賀県)などがある。 企画としては、英国領北アイルランドにて《When The Wind Blows 風が吹くとき》展の共同キュレータ、福島県福島市にて《土湯アラフドアートアニュアル2013》《アラフドアートアニュアル2014》の総合ディレクタ、東海道の宿場町を中心とした《富士の山ビエンナーレ2014》キュレータ、宮城県栗駒市に位置する《風の沢ミュージアム》のディレクタ等を務める。 → <a href="http://yumisong.net">http://yumisong.net</a>