最終更新:2007年6月18日

「東京-ベルリン/ベルリン-東京」展

「東京−ベルリン/ベルリン−東京展」は、東京とベルリンという2つの都市間で、19世紀末から繰り広げられてきた文化・芸術的交流の軌跡をたどることを意図して開かれた展覧会である。

この展覧会で最も興味深く感じたのは、 キャンディス・ブレイツの《スリラー》(2005)という作品である。この作品は、ドイツの新聞でマイケル・ジャクソンのファンを募集し、『スリラー』に収録された歌を歌ってもらい、その様子を多面のスクリーンに映すというものだった。ファンたちはそれぞれリズムをとりながら歌ったり、マイケルさながらのダンスを踊りながら歌ったりしていた。
この作品は、「マイケル・ジャクソン」という一種の時代のアイコンが、現代を生きる我々に対していかに強い影響力を持っているかということ、そしてそれが我々にとってどのような意味を持つかについて考えさせるということ、その二つの点において興味深いものだった。「マイケル・ジャクソン」というアメリカのスターは、ドイツにおいても(そしてそれは恐らく日本においても)同じような人気と影響力を持っているのだ。このことは、アメリカのポピュラー文化が世界の中でいかに強い影響力を持っているか、その原因はなにかを指し示すという点で大変示唆深いところがある。
しかしながら、この問題はこの展覧会のテーマに反して、「東京/ベルリン」という2都市間だけを視野に入れればいいという問題ではない。恐らく問題はもっとグローバルに考えなければならない類いのものだろう。
ところで、この展覧会の主旨が「東京/ベルリン」という2都市の相互交流の軌跡を辿るものであるにもかかわらず、その主旨が見えにくいのはなぜだろう。この展覧会は会場を11のセクションに分けていたが、実はこのように多くのセクションに分けることによって見えなくなってしまったものは多いのではないだろうか。例えば、第3のセクションは「東京−ベルリン 1912-1923 美術と建築の新しいヴィジョン」というものであり、退廃からの復興や新しい未来を視野に入れた建築の姿を紹介するセクションのはずが、ほとんどそれを具体的に示すものは展示されず、消化不良の感覚が残った。
恐らく、1つ1つのセクションは十分に興味深いテーマであり、それだけ考えるのも相当骨の折れるものなのだ。それをいくつもの段階で見せようとしてしまったことで、そのお互いの関係性や面白さが半減してしまってたのが残念だった。
とはいえ、どの年代、性別の人でもそれなりに楽しめる展示であることは間違いない。そこに、美術館というものの立場や役割の難しさも感じるのだけれど。

展覧会のTAB詳細:「東京-ベルリン/ベルリン-東京」展

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Junko Okada

Junko Okada

1984年熊本生まれ。お茶の水女子大学文教育学部人文科学科美術史専攻4年。現在、<a href="http://mot06.exblog.jp/">MOT</a>というプロジェクトに参加。インタビューなどを行っている。

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