公開日:2022年4月25日

リボーンアート・フェスティバル後期は8月スタート。小谷元彦、加藤泉、風間サチコらが新作を発表

川俣正、SIDE CORE、梅田哲也、雨宮庸介ら18組以上が参加

「Reborn-Art Festival 2021-22」後期のメインビジュアルは小谷元彦の新作(制作中) ©︎ Reborn-Art Festival

アート、食、音楽の祭典が再始動

2022年8月20日に始まる「Reborn-Art Festival 2021-22」後期の詳細が発表された。前期に引き続き「利他と流動性」をテーマとする後期は、18組のアーティスト(常設作品アーティストとしてさらに6組が参加)が参加。後期のアート部門のキュレーターを務めるワタリウム美術館の和多利恵津子と和多利浩一によると、海外作家を中心に参加作家はさらに追加されるとのこと。

アート部門キュレーターの和多利恵津子と和多利浩一

記者会見では、見どころとなるいくつかの新作が紹介された。小谷元彦は、後期のメインビジュアルにもなっている全長6mの新作彫刻《サーフエンジェル》を制作中だ。手を広げてサーフィンをする天使の羽根の先には希望の火が灯り、「前へ向かって翔ぶ」というイメージを持ちながら制作を進めているという。本作をメインビジュアルに選んだ理由について、和多利恵津子は「誰もが生きることの難しい現代において、天使が人々の行くべき方向を示す道案内になるのではないか」と語った。

「Reborn-Art Festival 2021-22」後期のメインビジュアルは小谷元彦の新作(制作中) ©︎ Reborn-Art Festival

加藤泉は、石巻産の石を削るなどの加工を施さずに組み合わせ、そこに絵を描いた新作を制作。これまでのリボーンアート・フェスでも数々の作品を発表してきたSIDE COREは、協働する機会の多いBIENEVERYDAY HOLIDAY SQUADとともに、復興公園内の橋の下に防潮堤からイメージされた「何も作っていない工事現場」のような野外インスタレーションを設置する。風間サチコは「新しい山水」をテーマにリサーチを重ね、東日本大震災で変わった風景、絵葉書のなかに残る失われた風景などを参照した新しい風景を描き出すという。

SIDE CORE新作イメージ(オンライン記者会見より)
風間サチコ新作イメージ(オンライン記者会見より)

川俣正は「石巻(リ・ボーン)タワー」と名付けた新作をつくる。展望台でもあり、夜にはライトの灯る灯台になる同作は、次回以降のリボーンアート・フェスでも継続的に作品制作を続けるプロジェクトとなる。また前期で好評を博した雨宮庸介は、《石巻13分》を後期も継続展示。これらの作品の多くは、石巻市街エリアの南浜復興祈念公園周辺に集中して設置し、荻浜・桃浦エリア、鮎川エリアと併せてコンパクトに見て回れるようになるという。

また、ウクライナ侵攻を受けて急遽プログラミングされたのが「ウクライナ戦後復興支援プロジェクト」。秋頃をめどに、出品作家らも作品を提供するオークションを実施。その売上は復興支援金としてウクライナに寄付される。

川俣正新作イメージ(オンライン記者会見より)

アートだけでなく「食」もリボーンアート・フェスの大切なテーマ。「続いていく未来」をテーマに県内外から多数のフードクリエイターが参加し、名和晃平の《White Dear(Oshika)》のある荻浜の「リボーンアート・ダイニング」などで、来場者に食をふるまうという。もうひとつの大きな柱である「音楽」では、パンデミックの現状をふまえつつ、大きな動員を目指すのではなく、次の時代につながっていく「回復する音」のイメージをもってプログラムを企画中とのことだ。

実行委員長の小林武史

実行委員長である小林武史は「このテーマ(利他と流動性)は、そもそもリボーンにふさわしいと思う。震災という大きなネガティブな出来事があったからこそ、アート、音楽、食という様々なポジティブなものが生まれた。いまはコロナやウクライナ問題という新しい困難に接しているが、そこでこそ新しい出会いが生まれるはず。政治や経済だけでは伝えきれないものを世界に伝える、つながることができると信じている」と述べる。

前期ではのべ10万人が来場したリボーンアート・フェスティバル。アートだけでなく、豊かな自然、食、土地の先人たち知恵に触れる祭の開催を楽しみに待ちたい。

Reborn-Art Festival 2021-22(後期)

会期:2022年8月20日〜10月2日(会期中には休祭日を設ける)
会場:宮城県石巻市街地、牡鹿半島
https://www.reborn-art-fes.jp/

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