公開日:2025年11月5日

【新刊情報】今月の読みたい本! アール・デコから、国立西洋美術館を題材にした絵本、『ちいかわ』を読み解くマンガ論まで(2025年11月版)

アート、映画、デザイン、建築、マンガ、ファッション、カルチャーなどに関するおすすめの新刊を紹介。

もっと知りたいアール・デコ(アート・ビギナーズ・コレクション)

天野知香 著
東京美術 2200円+税 10月27日発売

「現代装飾美術・産業美術国際博覧会(通称:アール・デコ博)」から100周年の節目を迎える本年、全国各地の美術館では同時代の芸術/装飾芸術をテーマとした展覧会が数多く開催されている。建築・工芸・グラフィックデザイン・ファッション等幅広いジャンルで展開し、いまも見る者を魅了するデザインの見どころを紹介する一冊だ。

ヒゲのガハクごはん帖

梅村由美 著
山口晃 画 集英社 2100円+税 10月6日発売

現代アーティスト・山口晃のエッセイ漫画『すゞしろ日記』に登場する、「カミさん」こと妻の梅村由美。夫目線からのみ描かれてきた彼女がついに筆をとり、夫との日々を綴る。自宅で、行きつけの店で、旅先で、場所を選ばず発揮される「ガハク」こと山口晃の「食」に対するこだわりを、文と絵の両方から絵巻物のように楽しむエッセイ本だ。

戦争と芸術の〈境界〉で語りをひらくー有田・大村・朝鮮と脱植民地化

山口祐香、チョン・ユギョン 著
花束書房 2000円+税 11月10日発売 

戦後日韓関係を専門とする若手研究者と、日本を拠点に活動する在日コリアン3世のアーティストによる共著で、陶製手榴弾を模したチョン・ユギョンによる架空の焼き物「大村焼」が刻む歴史と表現をひもとく1冊。ふたりが手がけた論考、エッセイ、対談を収録。アート作品やそれぞれのテキストは、様々な歴史課題を問い直しながら、差別と忘却に抗う言葉を記録する。

マンガはうたう-なぜ平面から音が聞こえてくるのか-

細馬宏通 著
青土社 2200円+税 10月27日発売

SNSを中心に爆発的な人気を集めるナガノ『ちいかわ』から赤塚不二夫作品まで、何気なく読めてしまうマンガをひとコマひとコマ細やかに読み込む本書。ちいかわは細部にわたって音楽的な作品? 赤塚不二夫マンガをなぜ口ずさんでしまうのか? など、まったく新しいマンガの読み方を提示する。

森のはずれの美術館の話

梨木香歩 著
ゲオルグ・ハレンスレーベン 画 ブルーシープ 2000円+税 8月20日発売

本書は、国立西洋美術館を題材とした2部構成の絵本。梨木香歩が文を紡ぎ、「リサとガスパール」シリーズで知られる画家ゲオルグ・ハレンスレーベンが絵を手がけた。1部は電車に乗って美術館にきたある母子の話。第2部は大人の読者に向けた、エピローグとして楽しめる物語となっている。美術館でゆったりと絵画と向き合う時間の豊かさを深く感じられる一冊だ。

Savoir & Faire 金属

エルメス財団 編
岩波書店 2900円+税 10月28日発売

自然素材を巡る職人技術や手わざの再考、継承、拡張を試みるプログラム「スキル・アカデミー」の一環で出版されている「Savoir & Faire」シリーズ。第3弾となる今回は、仏語版『Savoir & Faire le métal』から選ばれたエッセイやインタビュー、専門家によるオリジナルテキストやインタビュー、ポートフォリオなどが収録されている。また、銀座メゾンエルメスでは現在、本書の出版を記念した展覧会「メタル展」も開催中だ。

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