新宿歌舞伎町能舞台にて、春画の展覧会「新宿歌舞伎町春画展ー文化でつむぐ『わ』のひととき」が開催される。会期は7月26日から9月30日まで。
性別や身分を越えて江戸の人々を夢中にさせた春画は、「笑い絵」「わ印」とも呼ばれ、密かに楽しむだけでなく、仲間と囲んで笑い合ったり読み解いたりする娯楽でもあった。いっぽうで浮世絵師たちにとっても大切な表現の場となり、浮世絵の大きな側面を成している。また春画には、漢詩や和歌、古典文学を題材にした作品も数多かったことから、性的描写だけではなく、浮世絵師たちが巧みに織り込んだ「やつし」や「見立て」を読み解く、知的好奇心を掻き立てるものでもあったという。
本展では、東洋古美術の専門美術商である浦上蒼穹堂の代表・浦上満の春画コレクションのなかから、菱川師宣、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国芳など、江戸時代初期から幕末に制作された春画約100点を展示。展覧会のアートディレクターには、林靖高(Chim↑Pom from Smappa!Group)を迎え、本舞台や橋掛り、楽屋や客席に至るまで、新宿歌舞伎町能舞台を全面的に活用した展示空間を作り出す。なお18歳未満は入場不可となる。

「北斎漫画」のコレクターとしても知られる浦上は、春画のコレクターでもあり、2013年にロンドンの大英博物館で開催された「春画 日本美術の性とたのしみ」に出品者・スポンサーとして携わった。また2015年に東京・永青文庫で開催された日本初の本格的な「春画展」の実現にも尽力した。

現代の歓楽街・新宿歌舞伎町の中心で、江戸に息づいた春画の世界を楽しむことのできるまたとない体験となりそうだ。