
池﨑理人
空山基の大規模個展「SORAYAMA 光・透明・反射 -TOKYO-」が、5月31日まで東京・京橋のCREATIVE MUSEUM TOKYOで開催されている。
1970年代から活動を始め、女性の身体とロボットを融合させた「セクシーロボット」シリーズによって、映画『ロボコップ』をはじめとする後のロボット造形にも大きな影響を与えた空山基。AIBOのコンセプトデザインや、世界的なファッショブランド、ミュージシャンとの多彩なコラボレーションでも知られる。本展は、「光」「透明」「反射」を作品コンセプトとし、「光を描く」という挑戦を続けてきた作家の軌跡を幅広い作品を通して紹介する回顧展だ。
このたび、そんな展覧会を訪れたのは、グローバルボーイズグループINIのメンバーである池﨑理人。低音ボイスのラップが特徴的な池﨑は、じつは絵を描くことも得意。INIのシングルのアザージャケットを担当したり、事務所所属アーティストによる合同イベント内で作品展を行ったりと、作品発表の場を広げている。半世紀にわたって「光・透明・反射」を追求し続ける空山の作品群を池﨑はどのように見たのか? 作品や空山の創作姿勢から得たインスピレーション、さらには自身の絵画制作に対する思いまで、展覧会会場で話を聞いた。
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「今日は楽しみにしていました。入ってもいいですか?」と待ちきれない様子で会場に到着した池﨑。まずは、空山のPRを担当する三島炉子の案内で展示室を巡る。
本展は、1970年代から作品を発表している空山の半世紀におよぶ創作をたどる過去最大規模の個展だ。展示室冒頭の年表では、広告の仕事から国内外での展覧会、音楽やファッションなど領域を超えたコラボレーションまで、その多岐にわたる活動を俯瞰できる。池﨑はとくに音楽に関連した空山の仕事に興味津々の様子だ。
「あ、これはザ・ウィークエンドのMVですね。ライブで使われた立像も空山さんが手がけていたんですか? すごい。88risingのこのアルバム(『Head in the Clouds II』)も空山さんだったんだ。僕、聞いていましたよ」

会場では、キャンバス作品や最新の彫刻、映像インスタレーション、原画などの幅広い作品を複数のセクションに分けて展示している。最初の展示室は、空山が近年取り組んでいる大型のキャンバス作品を紹介する「The Gallery」。類まれなる技術に基づく「光と透明」をめぐる探究の成果を堪能できるセクションだ。
空山の作品は知っていたが、実物を見るのは初めてだという池﨑は、長嶋茂雄やダース・ベイダーなどをモチーフにした作品の前で足を止め、一点一点じっくりと見つめる。「この刻印されたようなコピーライトのマークも実際に絵具で描いているんですか?」「ダース・ベイダーも鼻ピアスのようなものがついていたり、よく見ると空山さんのテイストが現れているんですね」


空山のメタリックな輝きへのフェティシズムは、幼少期に近所の鉄工場で鉄に反射する光に魅せられたことが原体験になっている。79歳の現在もアトリエで毎日ひとりで絵を描き続け、「絵具で光や反射や透明を描き出すことを人生かけてやってきた」と三島は語る。これを聞いた池﨑は「79歳なんですか!? いまも現役で描かれているんですね、素晴らしいです」と驚きの表情。
一貫して「楽しいから描く」を原動力に制作を続ける空山は、一度仕上げた過去の作品を、後から何度も描き直すことがあるのだという。描いたときはこれで良いと思って筆を止めても、見ているうちに新たな部分が気になってくるからだ。スタジオに篭ってひとりで描く時間が幸せなのだそう。

「メディテーションのような感じでしょうか。僕も絵を描いているときは夢中で何時間も経っていて、頭でごちゃごちゃ考えていたことがスッと消えることがよくあるので、わかるような気がします。でも自分が過去に描いたものを描き直すって、僕は考えたことがなかった。(昔の絵を見ても)恥ずかしくなってしまって、『まあ、これはこれで』と完結させてしまうことがほとんどで。空山さんはそれを続けているんですね。そうすることで、どんどん進化していったのかもしれないですね」(池﨑)
「空山さんが『続けている限り“間違い”や“失敗”はない。好きなことをやめた時点で、それが“間違い”なんだ』と話していたのが印象に残っています。好きなことを続けているので“努力”という感覚もなくて、苦しいと思ったことは一度もないとも言っていました」(三島)
「素晴らしいですね。少年の心のまま描き続けているんですね。僕もそれが理想です。そうなりたい」(池﨑)
