積層する街の歴史と人々の営みを、アートで見つめる。初開催「すみだ五彩の芸術祭」が目指すものとは?

墨田区各所で開催中の芸術祭「すみだ五彩の芸術祭」を、ディレクターの言葉とともに紹介(撮影:ともまつりか [*]は除く)

小泉智貴「色をまとい、夢を縫う」会場風景より

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重視したのは、「過去・現在・未来」をつなぐ視点

東京・墨田区各所を舞台にした芸術祭「すみだ五彩の芸術祭」が9月4日に開幕した。会期は12月20日まで。

すみだ北斎美術館やすみだトリフォニーホールなどの文化施設を擁し、「アサヒ・アート・フェスティバル(AAF)」や「隅田川 森羅万象 墨に夢」といった地域に根ざした独自のアートプロジェクトが展開されてきた墨田区。区主催の総合芸術祭としては23区初となる「すみだ五彩の芸術祭」では、こうした芸術の力と地域の魅力をさらに掛け合わせ、アートを通して場や人の魅力、すみだに暮らす喜びを再発見することを目指す。

「すみだでこそ意味を持つ作品であること。そして作品を感じながら、その背後にある土地の歴史や現在へと分け入っていくことができること。そうした芸術祭を目指しています」と述べるのは、エグゼクティブディレクターの神野真吾。このほかディレクターとして⻘⽊彬、荻原康⼦、清宮陵一、三⽥⼤介の4名が参加し、それぞれのバックグラウンドや専門領域を活かしながらプログラムを企画した。

エグゼクティブディレクターの神野真吾

「すみだ五彩」という名前は、墨田の「墨」、そして水墨画で墨や筆遣いと余⽩を組み合わせて多彩な世界を表現することを「墨に五彩あり」と言うことに由来する。相撲の掛け声「はっきよい」のもとにもなったという「発気揚々」をコンセプトに据え、会期中は区内50ヶ所以上で140を超えるプログラムを開催。隅⽥川や⽇本家屋など、地域ならではの様々な場所を会場に、美術や演劇、ダンス、⾳楽をはじめ、サイエンス、⾷、ケア、街歩きなど多彩な企画が展開される。

神野は本芸術祭の構想にあたって街を歩き、人々と交流するなかで、大都市東京の一部でありながら、土地の歴史と現在の暮らし、人と人とのつながりがこの地に色濃く残っていることを強く感じ、地元の人々がその歴史やコミュニティの在り方に強い関心を持ち続けていることに驚かされたという。

「そこで重視したのが、その土地の歴史、現在の在り方、そしてこの先どうありたいのかという、過去・現在・未来をつなぐ視点です。作家を選ぶ際にも、地域の歴史をそのまま紹介したり再現したりするのではなく、そこに現代の視点から新たな問いを投げかけることのできる表現者であることを重視しました」

会場のひとつである、空襲を生き延びた日本家屋タロハチ(旧鈴木家)

ここでは、そんな墨田区の地域性を活かして初開催を迎えた本芸術祭の見どころを、9月3日に行われたプレスツアーの内容を中心に紹介する。展示やイベントは、北は東向島や鐘ヶ淵、南は両国駅や錦糸町駅、平井駅周辺まで広がっており、バスや電車を有効活用しながら回るのがおすすめだ。

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