会場風景
東京都現代美術館では、1930年代の台湾で結成されたモダニズム詩のグループ「風車詩社」を描いた映画『日曜日の散歩者』(2015)を起点に、近代の台湾と日本を多様な文化芸術を通して見つめ直す「共時的星叢―時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」展が開催されている。会期は9月5日から12月13日まで。本展を担当するのは、黄亜歴(ゲスト・キュレーター/映画監督)、金島隆弘(共同キュレーター/金沢美術工芸大学准教授)、鳥越麻由(東京都現代美術館学芸員)。
本展は、近代台湾の美術作品約200点、資料約500点に、日本の作品約100点によって構成される。無数の星のようにそれらの関係性が交錯する空間のなかで、台湾と日本の近代を越境的な視点から見つめ直す。
プレスレクチャーで、鳥越は、展示品の多くが日本統治時代にあたる20世紀前半の台湾と日本の作品や資料であると説明。「日本から台湾への一方向の影響としてとらえられがちな関係を見直し、台湾の作家たちが自らの文化や社会のなかで翻訳し、読み換え、ときには抵抗し再考しながら、自らの表現へとつなげていった過程を見られる展示」だと語った。植民地と被植民地という階層的で一方向的な認識を反転させ、両地域の創作者たちが相互に照らし合いながら「共時」的な存在であったことを浮かび上がらせる。
本展の軸となる映画『日曜日の散歩者』は、日本統治期に台湾へのシュルレアリスム導入を試み、日本語で詩作した数人の詩人をめぐる歴史的な営みを、地域や時代、ジャンルを横断する多様な作品を散りばめて描いた一作。ゲストキュレーターの黄亜歴は同作の映画監督でもあり、映画をめぐる思索や編集手法を、多種多様な資料をモンタージュのように組み合わせて展示空間へと展開する。会場には、黄のディレクションによる映像や反射する素材、迷い込むような動線が散りばめられ、展示空間そのものが、鑑賞者を含めた複数の関係性が交差する装置となる。この空間設計は、台湾の気鋭の建築家ユニット「UxUスタジオ」によるもの。空間全体がひとつのインスタレーションとなり、鑑賞者は作品の関係性のなかへと入り込んでいく。
ここでは、6つの章で構成される本展の見どころを紹介していきたい。