公開日:2025年10月5日

深海生物か、架空の存在か。「Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地」がシャネル・ネクサスホールで開幕

出品作家はソフィア・クレスポと、彼女がアーティスト・デュオとして活動するエンタングルド・アザーズ。長谷川祐子のアーティスティックディレクションのもと、三宅敦大がキュレーションを行う

会場風景

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若手キュレーターが手がけるAI×エコロジー展

東京・銀座にあるシャネル・ネクサス・ホールでは、人工知能(AI)とエコロジーの融合した展覧会「Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地」が開催されている。会期は10月4日〜12月7日。

本展は長谷川祐子(キュレーター/美術批評)が、次世代を担う若手キュレーターを育成する「Hasegawa Curation Lab.」とのコラボレーション企画。若手キュレーターを起用し、彼らの視点を取り入れながら、次世代を担う様々な才能たちの対話を生み出すことを目指す。同シリーズは昨年開催された「Everyday Enchantment 日常の再魔術化」に続いて、2回目の開催となり、キュレーターはキュラトリアル・コレクティブ「HB.」の共同代表である三宅敦大が務める。

左からフェイレカン・カークブライド・マコーミック、ソフィア・クレスポ、三宅敦大、長谷川祐子

今回、フォーカスされるのはリスボンを拠点とするソフィア・クレスポと、彼女がノルウェー出身のアーティスト/研究者フェイレカン・カークブライド・マコーミックと2020年に結成したデュオ、エンタングルド・アザーズだ。

クレスポの作品は、画像生成AIを通じて虫の翅(はね)や植物の胞子、深海のクラゲのような既視感のあるフォルムでありながら、決して人間が見たことのない生命体を生み出す。いっぽう、エンタングルド・アザーズは、世界のあらゆるものが単独で存在するのではなく、相互に結びつき共鳴し合いながら存在しているという「エンタングルメント(もつれ)」概念を軸に活動してきた。人間と非人間のあいだにある複雑な相互関係を、データと想像力を駆使して再構築する彼女らの作品は、いまアートとテクノロジーが交差する臨界点においてもっとも注目を集めている。

会場風景 © CHANEL

本展では、旧作と新作を含む4シリーズを展示。ヴィジュアル、彫像、デジタルインスタレーションなど複数のメディアを横断しながら織りなされる展示空間は、「人間が自然をどう見たいと願っているか」の深層を映し出し、私たちの認識のあり方をも問い直していく。

会場風景 © CHANEL
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