TOKYO ART BOOK FAIR 2022
12回目となる「TOKYO ART BOOK FAIR(TABF)」が東京都現代美術館で開催される。会期は、2022年10月27日から30日の4日間。
個人のアーティストからアート系出版社、ギャラリー、書店などによる独創的なアートブックが国内外から集まるブックフェアとしてファンの多いTABFだが、今回は約200組が出展し、アートブックや本作りの楽しさを伝える&盛り上げる。

様々な関連企画が充実しているのもその特徴で、ひとつの国や地域の出版文化を紹介する「Guest Country」では、フランスを特集。
1967年よりギャラリーを構え、アートコレクターとしても著名なイヴォン・ランベールは、50年間にわたって経営したギャラリーを閉廊し、2014年からブックストア、展示スペース、出版社を併設したより親密なスペースをパリ3区にオープンした。今回のTABFで企画する「 60 years with Art」では、主に詩集、写真集、プリントなどを扱う同スペースを紹介しながら、イヴォン・ランベールのこれまでと現在の活動、フランスのアートブックシーンの歴史とその進化を辿るという。


このほかにも、会場にはセーヌ川沿いに立ち並ぶ屋台式書店「ブキニスト」を模したブースが設営されたり、日本とフランスのアート性の高い絵本を読めるコーナー、ラファエル・ローゼンダールによるペインティングを大胆に用い、マウリツィオ・カテラン、サイモン・フジワラ、ライアン・ガンダー、ガブリエル・クリ、ジョナサン・モンク、ローゼンダール、田島美加、リクリット・ティラヴァーニャによる貴重なアートブックを展示するパリを拠点とするThree Star Booksによるインスタレーション空間なども楽しめる。

創業150周年を迎えた資生堂。その企業文化誌である『花椿』の創刊85周年記念号の刊行を記念した特別展も注目だ。会場では、同社が1932年頃に制作した化粧品購入者のための景品「現代化粧百態繪端書」の現物や、2017年からのバックナンバーも展示する。事前予約制だが、小林エリカ(作家/マンガ家)、穂村弘(歌人)、森岡督行(森岡書店店主)、志賀玲子(花椿アートディレクター/資生堂クリエイティブ株式会社)らが登壇するトークショーも開催される。


ZINEにぴったりなレトロな風合いと、薄い紙に印刷できる楽しさで世界各国のアーティストたちからの人気が高まるリソグラフ(理想科学工業株式会社が開発した印刷技法)。TABFでは、東京を拠点とするリソグラフスタジオ「Hand Saw Press」が企画する特別プログラムを展開。現在のシーンを牽引するノルウェーのPamflett、オランダのKnust Pressを招聘して展示を行うほか、ドキュメンタリー映画の上映会やワークショップも行われる。
ここでは紹介しきれないくらいたくさんのイベントが予定されている今年のTABF。生粋の本好きも、本にちょっと興味を持ち始めた人もぜひ足を運んでほしい。