公開日:2024年1月19日

TCAAの第5回受賞者が、梅田哲也と呉夏枝に決定。2月17日に「授賞式・受賞記念シンポジウム」を東京都現代美術館で開催

選考委員にはレズリー・マ(メトロポリタン美術館 アソシエイト・キュレーター)など計6名が参加。スタジオ訪問や面談を経て選出

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中堅アーティストを対象に海外での展開も含め更なる飛躍を促すことを目的に、2018年度から実施している現代美術の賞「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」。5回目となる「TCAA 2024-2026」の受賞者が、梅田哲也と呉夏枝に決定した。

梅田哲也 撮影:Tanaka Chihiro
呉夏枝 撮影:木奥惠三

現在、ワタリウム美術館「梅田哲也展 wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ」を開催中の梅田哲也。発表する場所の地政学的、環境的特徴に対する洞察が自身の表現言語で翻訳され、作品として昇華している点が高く評価された。

いっぽう、繊維素材にまつわる製作技法(染織、刺繍、編む、結ぶなど)を用いる呉夏枝は、大きな歴史およびそこで掬いきれない個人の小さな物語の両方への等しい眼差しと、テキスタイルの技法とを用いて、地政学、女性史、移民・移住の歴史をコンセプチュアルに用いた点が高く評価された。

梅田哲也 O階 2020「さいたま国際芸術祭 2020」展示風景(旧大宮区役所) 撮影:丸尾隆一
呉夏枝 海図 2017-2019 撮影:木暮伸也 画像提供:小山市車屋美術館

選考委員長の高橋瑞木(Centre for Heritage, Arts and Textile館長兼チーフキュレーター)は総評として、「写真や映像といったデジタル・メディアを用いる作家が多かったですが、メディウムの選択や使い方、展示方法には新鮮さや驚きを感じるようなものは残念ながら少なかったです」と述べた上で、「マイノリティや移民の問題は、彼らが存在する場所の歴史や地政学に根付く問題ですが、そのいっぽうで、世界のあらゆるところにある問題であるとも言えます。マイノリティの問題を日本固有の問題として設定せずに語る方法を探ることで、大局的な問題が顕在化し、より多くの人々と作品を通して問題を共有する可能性が開かれるのではないでしょうか」とコメントした。

授賞式および受賞記念シンポジウムは、2月17日に東京都現代美術館で開催される。詳細は、TCAAウェブサイトより。1月25日から2月15日まで。

授賞式および受賞記念シンポジウム

開催日:2月17日
時間:
[授賞式]14:00〜14:30(開場:13:30)
[受賞記念シンポジウム]14:40〜16:10
会 場:東京都現代美術館 地下2階講堂
※入場無料・要事前申込・先着順。日英同時通訳あり。
◼️受賞記念シンポジウム:
TCAA2024-2026の選考委員による選考の総評や、「同時代性」、「社会性」など選考会で議論になったポイントについて振り返ります。また、受賞者2名が自身の作品や制作について話します。
登壇者:
◼️受賞者:梅田哲也(オンライン参加)、呉夏枝
◼️選考委員:野村しのぶ(東京オペラシティアートギャラリー シニア・キュレーター)、鷲田めるろ(十和田市現代美術館 館長/東京藝術大学大学院 准教授)、近藤由紀(トーキョーアーツアンドスペース プログラムディレクター)
◼️モデレーター:塩見有子(特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]ディレクター/TCAA選考会運営事務局)

申し込み方法:TCAAウェブサイトより、1月25日から2月15日までにお申込みください。
申込フォーム:https://tokyocontemporaryartaward.jp/news/form/1738

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