アートバス「爆心へ/To Hypocenter」号イメージ
アートコレクティヴ「爆心へ/To Hypocenter」による新たなプロジェクトが発表された。
「爆心へ/To Hypocenter」は、新井卓、川久保ジョイ、小林エリカ、竹田信平、三上真理子といった、国内外を拠点に独自の視点から15年以上にわたって核に対峙してきた日本人アーティストらが中心となり、原爆開発・投下から80年となる2025年に向けて活動を開始。アートを通して世界各地の「爆心」をつなぎ、記憶と記録を再起動しながら、未来につながる歴史や生きた継承のあり方を探る試みだ。
このたび発表されたのは、アートバス「爆心へ/To Hypocenter」号の運行と、東京での上映会・トークイベントの開催。
アートバス「爆心へ/To Hypocenter」号は、一時的な公共空間であり、様々な人々が偶然に交差する空間であるバスを、アートの生まれる場ととらえ、広島、長崎を経て東京へ走らせるというもの。各地で「爆心」を巡る問いや声を集め、バスに「記憶のアーカイヴ」を創出するほか、バスの旅の模様はリアルタイムでストリーミング配信される。
8月3日〜6日に行われる広島編では、小林エリカと新井卓が広島市内に停車したバスを拠点に活動する。新井はサイアノタイプを使ったキルティング・ワークショップ、小林は個人へのインタビューから人と場所の記憶を浮かび上がらせる「過去のポートレイト」の制作を行う。また会期中、バスの社内では、アート作品や本プロジェクトの関連資料・書籍を自由に鑑賞・閲覧できる。


8月6日〜8日に行われる長崎編には、メキシコのティファナを拠点とし、爆心地を巡る「アンチ・モニュメント」をテーマに作品制作を続けてきた竹田信平が参加。「爆心へ」号を使った「アンチモニュメント・バスツアー」や、長崎県美術館 運河ギャラリーでのVRを使った参加型作品の一般公開、バス内での作品展示などを行う。

バスの終着地となる東京では、8月15日に日比谷図書文化館 日比谷コンベンションホールで「爆心」にまつわる映像作品の上映会とトークイベントを開催。トークのゲストとして、被爆者団体「武蔵野けやき会」会長・松田隆夫と、核と環境正義を巡る物語をアートで編み直すコレクティヴ「ボムシェルトー(Bombshelltoe)」、マーシャル諸島共和国の詩人・環境活動家のキャシー・ジェトニル=キジナーを迎える。ボムシェルトーとジェトニル=キジナーはオンラインでの参加となる。

さらに8月16日には、こほろぎ舎との共催イベントとして、寺尾紗穂の選曲と小林エリカの脚本による朗読歌劇『女の子たち風船爆弾をつくる』の映像(玉田伸太郎監督)上映と、明治大学平和教育登戸研究所資料館の塚本百合子、寺尾、小林によるトークを開催するほか、関連イベントとして8月14日には竹田によるドキュメンタリー映画『ヒロシマ・ナガサキダウンロード』をメキシコ大使館にて特別上映する。
各イベントの詳細やチケットの情報については、「爆心へ/To Hypocenter」の公式サイトで確認してほしい。