公開日:2025年11月19日

東京国立博物館、池の改修案への批判的意見を受け説明を発表。「池の躯体や基礎は残し、元の池に戻すこともできる」「常設のイベント会場になることはありません」

本館前の池を芝生エリアへと改修する「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」に対し、懸念する意見が相次いでいる

「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」 本館前庭のリニューアルイメージ

トーハクが相次ぐ意見を受け、説明を発表

東京国立博物館が11月10日に発表した、本館前に広がる大きな池を芝生エリアへと改修するプロジェクト「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」が波紋を呼んでいる。

同プロジェクトは、昨年度に策定された「東京国立博物館 2038 ビジョン」の施策の一環として位置付けられるが、発表後、市民から「歴史的な景観を損ねることになりかねないのではないか」「前庭が常設のイベント会場になるのではないか」と懸念を表明する意見が同館に多く寄せられたという。

これを受け、同館は本プロジェクトに関する考えを改めて説明する文章を発表。これによると、同館は「その歴史的な景観の保全を重要なことと考えて」いると強調。惜しむ声が多い人工池については、「池の躯体や基礎は残し、元の池に戻すこともできる」ように設計を行うという。

また、芝生エリアについては、来館者の憩いの場としての機能を主とするものであり、前庭が常設のイベント会場になることはありません」とする。

「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」 本館前庭のリニューアルイメージ

全文は以下の通り。本プロジェクトに関する意見などは公式サイトから寄せることができる。

「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」についてのご意見を受けまして

令和7年11月11日(火)にプレスリリースを発出した「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」につきまして、「歴史的な景観を損ねることになりかねないのではないか」「前庭が常設のイベント会場になるのではないか」などのご懸念を多くいただきました。これらのご意見を厳粛に受け止め、当館の考えを改めてご説明いたします。

当館では、本館とその歴史的な景観の保全を重要なことと考えており、本プロジェクトにおいても、その価値を損なうことのないよう、最大限配慮いたします。池の躯体や基礎は残し、元の池に戻すこともできるように設計を行います。

本プロジェクトで構想している前庭は、来館者の憩いの場としての機能を主とするものであり、前庭が常設のイベント会場になることはありません。本構想では、荘厳な本館を望む穏やかな芝生空間を基本とし、イベントについては、これまでと同様に、限られた期間・内容で実施する予定です。

本館前庭にある人工池は、昭和12年の設置から約90年が経過しました。近年、水質の悪化や池の壁面の亀裂、漏水などの問題が確認され、維持管理が困難な状況となっていました。令和6年12月には、安全面と環境面を考慮し、排水して池を空の状態にしました。歴史的な景観の保全を念頭に、池の修繕・維持にかかるコストと、芝生エリアの創出による効果を総合的に検討し、館内での議論を重ねて、本構想に至りました。

このたびは、本プロジェクトについて、たくさんのご意見やご感想をお寄せいただき、誠にありがとうございます。皆さまが日頃から当館に関心をお寄せくださっていること、また、お声を届けてくださることに、心より感謝申し上げます。頂戴した貴重なご意見を真摯に受け止め、皆さまと共に歩む、持続可能な博物館を目指して一層努力してまいります。

「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」 本館前庭のリニューアルイメージ

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