左:やんツー TEFCO vol.2 ~ アンダーコントロール ~ 2023 「MOT アニュアル 2023 シナジー、創造と生成のあいだ」(東京都現代美術館)展示風景 撮影:木暮伸也 右:潘逸舟 波を耕す 2024
東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)が2018年から実施している中堅アーティストを対象とした現代美術賞「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」。第6回目となる「TCAA 2026-2028」の受賞者が潘逸舟とやんツーに決定した。授賞式および受賞記念シンポジウムは東京都現代美術館にて3月4日に開催。
TCAAは複数年にわたる継続的な活動支援が特徴で、受賞者は賞金300万円が授与されるほか、1年目には海外での制作活動支援200万円、2年目には東京都現代美術館での展覧会の実施、そして3年目は国内外の発信に活用できるモノグラフ(作品集)の作成の機会が授与される。これまで、風間サチコ、下道基行、藤井光、山城知佳子、志賀理江子、竹内公太、サエボーグ、津田道子が受賞し、第5回を受賞した梅田哲也と呉夏枝が協働した「Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026 受賞記念展『湿地』」は3月29日まで東京都現代美術館で開催中だ。
本賞の選考委員は、高橋瑞木(CHAT 館長兼チーフキュレーター)、野村しのぶ(東京オペラシティアートギャラリー シニア・キュレーター)、レズリー・マ(メトロポリタン美術館 ミン・チュー・シュウ&ダニエル・シュー 近現代美術部門 キュレーター)、近藤由紀(トーキョーアーツアンドスペース プログラムディレクター)に、ホセリーナ・クルス(マニラ現代美術デザイン美術館(MCAD)ディレクター兼キュレーター)と近藤健一(森美術館 シニア・キュレーター)が今回から新たに加わった。計6名の選考委員によるスタジオ訪問や面談を経て、2名を選出した。
選考委員長の高橋は、本賞の選考会が参加したアーティストにとって次のステップに挑戦する機会につながることを願い、次のように語る。
今回は参加したアーティストたちによる、真摯で正直なプレゼンテーションや質疑応答に選考委員全員が心を動かされた選考会でした。自分がどこから来て、アーティストとしてどのように社会に関わっていくのかという切実な問題に、テクノロジーやジェンダー、日本の近代史、周縁化された人々の声を手がかりに立ち向かう姿勢が顕著に表れ、率直に彼らの作品によって表現されていました。その一方で、各アーティストの視覚言語や、彼らのコンセプトを補強する思想や言葉の独創性はやや希薄で、既視感があったり、借り物の印象が拭えない感もありました。おそらく彼らもそのことを自覚しており、突破口を探しているのではないでしょうか。中堅のアーティストを支援する本賞の選考会が、彼らが今ひとたび自分が築き上げてきた表現世界を振り返り、自分のコンフォタブルゾーンから飛び出し、次のステップに挑戦する機会となったならば幸いです。