公開日:2023年12月11日

2023年のターナー賞は、ジェシー・ダーリングが受賞。日常の物を使って人間の脆弱性を表現した彫刻が高く評価

イギリスの現代アーティストに贈られる、美術界で名誉ある賞のひとつ。イーストボーンのウィンター・ガーデンの授賞式で、タイニー・テンパー氏により12月5日に発表。

Jesse Darling at Turner Prize 2023,Towner Eastbourne. Photo Photo Victor Frankowski, Hello Content

世界有数の芸術賞、ターナー賞はイギリスの現代アーティストに贈られるもので、毎年世界的な注目を集める。イギリスの画家・ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーにちなんで名付けられたターナー賞は、過去12か月間に作品の優れた展示またはプレゼンテーションを行った、英国生まれまたは、英国に拠点を置くアーティストに授与される。この名誉ある賞を2023年に受賞したのは、ジェシー・ダーリングだ

Jessie Darling at Turner Prize 2023 Awards Ceremony. Photo by Victor Frankowski, Hello Content.
Jessie Darling at Turner Prize 2023 Awards Ceremony. Photo Victor Frankowski, Hello Content

オックスフォード生まれのジェシー・ダーリングは、人体の不安定さと脆弱さに焦点を当て、彫刻、インスタレーション、ビデオ、ドローイングなど様々なツールを用いて表現するアーティストだ。家庭と制度、家と国家、安定と不安定、機能と機能不全、成長と崩壊といった概念を、日常的なテクノロジーを用いて再定義している。2020年には第8回横浜トリエンナーレにも参加した。

Installation view of Jesse Darling at Towner Eastbourne, 2023 Photograph by Angus Mill

今回受賞した彫刻作品は、《A familiar yet delirious world (慣れ親しんでいるが錯乱した世界)》。「人生の厄介な現実」と不安を与える「労働、階級、英国らしさ、権力の概念」に関連する社会構造を伝えるものだった。またコンクリートや溶接された障壁、テープ、事務用ファイル、カーテンなどのありふれた素材や物で、幻想的な世界を表現した彼の手法も審査員から高く評価された。こうしてダーリングには、2万5000ポンド(約470万円)の賞金が贈られた。

Installation view of Jesse Darling at Towner Eastbourne, 2023 Photograph by Angus Mill

ダーリングを含めた、4名の最終ノミネートアーティスト(ジスレーヌ・レオン、ローリー・ピルグリム、バーバラ・ウォーカー)の展覧会は、ウィンター・ガーデンに隣接する美術館タウナー・イーストボーンで2024年4月4日まで開催される。

Alex Farquharson, Tinie Tempah, Joe Hill and Jesse Darling at Turner Prize 2023 Awards Ceremony Photo by Victor Frankowski, Hello Content

過去の受賞者には、アニッシュ・カプーア(1991年)、ダミアン・ハースト(1995年)、ヴォルフガング・ティルマンス(2000年)、マーティン・ボイス(2011年)、ベロニカ・ライアン(2022年)らが名を連ねている。


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