公開日:2025年12月10日

現代アートの最高峰「ターナー賞」、2025年はネナ・カルーが受賞。学習障害のあるアーティストの受賞は初

世界でもっとも有名な美術の賞のひとつであるターナー賞。ファイナリストの展覧会は2026年2月22日まで開催中

ネナ・カルー Courtesy of the Artist and ActionSpace

世界でもっとも有名な現代アートの賞のひとつであるターナー賞。2025年の受賞者がネナ・カルーに決定した。

審査委員長を務めたのは、テート・ブリテン館長のアレックス・ファーカソン。審査員には、インディペンデント・キュレーターのアンドリュー・ボナシーナ、「リバプール・ビエンナーレ」ディレクターのサム・ラッキー、ナショナル・ギャラリーの近現代プロジェクト アソシエイトキュレーターであるプリイェシュ・ミストリー、フィッツウィリアム美術館の近現代アート シニアキュレーターであるハブダ・ラシッドが名を連ねた。

受賞者には賞金2万5千ポンド(約521万円)、最終選考に残ったファイナリストのアーティストには1万ポンド(約200万円)が授与される。ファイナリスト4名による展覧会は、イギリスのカートライト・ホール・アート・ギャラリーにて、9月27日から2026年2月22日まで開催中。そのほかのファイナリストは、レネ・マティック、モハンマド・サーミ、ザディ・シャ。

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ネナ・カルーは、1966年スコットランド・グラスゴー生まれ。現在はロンドンを拠点に制作・生活している。紐や布、ビニールテープ、VHSテープなど多様な素材を巻き重ねた吊り下げ型の繭のような造形の彫刻や、力強くリズミカルな線で描く大規模なドローイングなどを制作。ニューロダイバージェント(脳や神経に由来する非定型的な発達の特性を持つ人々)のカルーは、1999年以降、ロンドン全域で学習障害のあるアーティスト支援を行う団体ActionSpaceのスタジオで、レジデントアーティストとして活動している。

「ターナー賞2025」展会場風景より、ネナ・カルーの作品 Photo © David Levene

審査員は、表現的なジェスチャーを生き生きと抽象的な彫刻やドローイングへと変換させる手腕や、スケール・構成・色彩における独自の実践や洗練された感覚、作品が放つ圧倒的な存在感を高く評価した。学習障害のあるアーティストが、ターナー賞を受賞するのは史上初となる。

「ターナー賞2025」展会場風景より、ネナ・カルーの作品 Photo © David Levene

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