
「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ」会場風景より、「In Minor Keys」オトボン・ンカンガ Soft Offerings to Silenced Voices and to All Who Have Turned to Dust Photo: Andrea Avezzù Courtesy: La Biennale di Venezia
5月9日に開幕した「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ」の参加アーティストら100名超が、一般投票による「ビジターズ・ライオン」賞の選考対象からの除外を求める書簡を公開し、今後、法的措置に向けた動きをとる予定であることを明らかにした。
「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ」では4月23日、「指導者が国際刑事裁判所(ICC)によって人道に対する罪で訴追されている国」は金獅子賞・銀獅子賞の審査対象から除外する、という声明を審査員団が発表。これよって事実上イスラエルやロシアが審査対象から外れることとなった。その後、4月30日には審査員団全員が辞任しており、ビエンナーレ側はこれを受理するとともに、今年は審査員賞に代わって観客の一般投票による「ビジターズ・ライオン」賞を創設することを発表した。

これを受け、メイン展示「In Minor Keys」や国別パビリオンの参加アーティスト、キュレーターらによる有志は、審査員団の辞任に「連帯を示すため」、ビエンナーレ側に対して同賞の選考対象からの辞退を表明をする書簡を2度送ったが、返答が得られなかったため、このたび、5月20日に送付した2度目の書簡の公開に踏み切ったという。かれらの発表によれば、審査員団の辞任は「重大な個人的法的リスク」によって余儀なくされたもの。また5月9日に1度目の書簡を送った後も、来場者に配布された「ビジターズ・ライオン」の投票用紙には、賞への参加の辞退を表明したアーティストらの名前が記載されていたという。
公開された書簡には、日本から参加している嶋田美子、ブブ・ド・ラ・マドレーヌを含む「In Minor Keys」の参加アーティスト52名(現在は67名)と、国別パビリオンのアーティスト16名(現在は39名)が署名。なかには、オーストリア、イギリス、ベルギー、フランス、オランダ、ウクライナ、イタリア、デンマークなどの代表アーティストが含まれる。

書簡では、賞の選考辞退は「審査員の審議の独立性と公正性を保証する責任をビエンナーレ側が負うべきにもかかわらず、審査員が重大な個人的法的責任にさらされているというプロセスへの参加を拒否するもの」と表明。「ビジターズ・ライオン」そのものへの抗議ではなく、この段階で同賞を新設することは、「審査員団の辞任という問題から目をそらす対応であり、私たちが出展の招待を受け入れた際に合意したプロセスとも真っ向から矛盾する」とし、投票用紙を含む同賞に関わるあらゆる広報物や資料から書簡に署名したアーティストらの名前を除外すること、そして、署名者に対してすでに票が投じられている場合は無効とすることを求めている。
署名者のアーティストらは、今後さらに「法的措置に向けた次の段階に着手する」予定だという。「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ」は11月22日まで開催される。