公開日:2026年4月1日

ヴェネチア・ビエンナーレのメイン展示「In Minor Keys」参加作家ら73名が、イスラエル館の設置に反対する公開書簡を発表

ビエンナーレの決断が、急逝した芸術監督コヨ・クオのヴィジョンに反するものだとして抗議。アメリカ・ロシア・イスラエルら「戦争犯罪を行う現政権」の参加にも疑問

「ヴェネチア・ビエンナーレ」会場風景 Photo: Francesco Galli

「イスラエル館をアルセナーレ内へ例外的に移設するという決定に反対する」

「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」のメイン展示「In Minor Keys」の参加アーティストおよびキュレーター陣が、同芸術祭におけるアルセナーレ会場でのイスラエル館の設置、およびイスラエル、ロシア、アメリカの参加に抗議するオープンレターを公開した。

5月9日から11月22日にイタリア・ヴェネチア各所で開催される「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」。2024年の前回開催時には、抗議運動などを受けてイスラエル館が会期初日に閉鎖。今回はベル=シミオン・ファイナルが代表作家を務め、ジャルディーニにある国別パビリオンではなく、アルセナーレにて展示を行うことが発表されていた。

このたび発表されたオープンレターは、昨年に急逝した「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」芸術監督コヨ・クオによって招聘されたアーティストおよびキュレーターたちによるもの。「In Minor Keys」の参加作家111名のうち、アーティストやキュレーターら73名が署名しており、ゲイブ・ベックハースト・フェイフー、ラシャ・サルティ、ロリー・ツァパイらクオが組織したアドバイザリーチームのメンバーや、嶋田美子、ブブ・ド・ラ・マドレーヌらも名を連ねている。

「In Minor Keys」ヴィジュアル

オープンレターでは、「パレスチナ、スーダン、ミャンマーにおけるジェノサイドや民族浄化をはじめ、カメルーン、コンゴ、ウクライナ、ベネズエラなど世界各地で蔓延する構造的抑圧、暴力、占領の対象となっているすべての人々」への連帯を表明したうえで、イスラエル館をアルセナーレへ移設する決定はクオのヴィオジョンに反するものだとして、以下のように記されている。

私たちはビエンナーレが下した、イスラエル館をアルセナーレ内へ例外的に移設するという決定に反対するために集まりました。コヨ・クオによって構想されたメイン展示「In Minor Keys」に隣接するスペースにイスラエル館を差し込むことは、彼女のキュレーションのヴィジョンやステートメント、彼女がすべての仕事を通じて明確に示してきた「ラディカルな連帯(Radical Solidarity)」の原則を侵害し、真っ向から対立するものです。またこのことは、イスラエル館に付随する軍や警察の存在を通して、暴力と恐怖の状況をもたらすことになるでしょう。これは本展の参加アーティストである私たちに直接関わる問題です。(*編集部訳、以下同)

さらにビエンナーレの掲げる「中立」に疑問を投げかけ、「戦争犯罪や残虐行為、そしてジェノサイドを現在進行形で行っている政府の参加を認めることは、決して中立ではない」とする。

世界最大規模かつもっとも注目を集めるアートイベントとして、ビエンナーレがとる立場は計り知れない影響力を持ちます。ひとつの展覧会ですべての懸念に正義をもたらすことは不可能かもしれませんが、引くべき倫理的な一線、そして常態化させてはならない行為は存在します。

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