公開日:2025年3月3日

いま、関西で見たい展覧会5選(大阪・京都・兵庫ほか):加藤泉×千總、「ノー・バウンダリーズ」展など

毎月1回更新。編集部が注目する、関西エリアで開催中の展覧会をピックアップ。気になる展覧会はお見逃しなく

「藤田嗣治 7つの情熱」(パラミタミュージアム、三重)

藤田嗣治の人生と画業を紹介する本展では、藤田研究の第一人者として知られるシルヴィー・ビュイッソンの監修のもと、フランス国内の個人が所蔵するデッサン、版画、水彩、油彩を中心に展観。自画像や女性、宗教画など、藤田が生涯にわたって情熱を捧げた7つのテーマを据え、日本とフランスの両国に生きながら制作を続けた藤田の足跡と創作の源泉に迫る。あわせて、川島理一郎や東郷青児、海老原喜之助といった藤田と深く関わり、その情熱を受け継いだ日本画家9名の油彩画や資料なども展示し、藤田が同時代に果たした役割をとらえ直す。

会場:パラミタミュージアム
会期:2月1日〜3月30日

「加藤泉×千總:絵と着物」(千總ギャラリー、京都)

1555年に京都・烏丸三条で創業し、2025年で創業470周年を迎える、京友禅着物の老舗・千總。本展では、現代美術家の加藤泉と共同制作した作品を展示する。本展で公開される着物の作品は、加藤のスケッチをもとに、糸目友禅や描き友禅、絞り染め、刺繍、仕立てといった複数の伝統的な工程を経て、京都の職人たちの手によって完成された。「人型」と称される加藤特有のモチーフは加藤が自ら筆をとり、職人たちとともに伝統的な友禅の技法によって描かれた。千總の長い歴史において、友禅職人以外の手によって着物生地に染色が加えられるのは極めて珍しいという。会場では、この着物作品に加え、着物としては製品化されなかった生地を使用したアート作品も展示される。

会場:千總ギャラリー
会期:2月27日〜9月2日

「若冲と江戸絵画」(細見美術館、京都)

江戸時代を代表する絵師のひとりである伊藤若冲(1716~1800)。細見美術館のコレクションの若冲作品は、初期作と晩年作があることが特徴だ。絵画制作に専念する以前の作品である、30代の頃の彩色画《雪中雄鶏図》《糸瓜群虫図》や、80代の筆とされる《群鶏図》《鼠婚礼図》などの水墨画も含まれる。本展では細見コレクションより、若冲作品を中心に紹介。若冲の弟子とされる若演や同時期に活躍した絵師をはじめ、江戸時代の様々な絵画が展示される。

会場:細見美術館
会期:3月1日〜5月11日

「ノー・バウンダリーズ」(国立国際美術館、大阪)

現代社会における様々な境界(バウンダリーズ)をテーマに据えた展覧会。私たちの日常生活には、物理的なものから心理的、社会的、文化的なものまで多岐にわたる「境界」が存在する。いっぽうで、アーティストたちは、これら既存の枠組みを解体し、アイデンティティ、文化、物理的空間や時間、ジャンルなどに対して新たな視点の提示を試みる。本展では、「境界」と呼ばれているもののあり方を問い直す表現を紹介。ミン・ウォン、アリン・ルンジャーン、エヴェリン・タオチェン・ワン、田島美加、山城知佳子、クリスチャン・ボルタンスキー、フェリックス・ゴンザレス=トレス、ヤン・ヴォー、ヴォルフガング・ティルマンスらが出展作家に名を連ねる。

会場:国立国際美術館
会期:2月22日〜6月1日

「第24回展示 白髪一雄の足跡」(尼崎市総合文化センター 白髪一雄記念室、兵庫)

尼崎市ゆかりの画家である白髪一雄は、1954年頃から床に広げたキャンバスに置いた絵具の塊を、天井から吊るしたロープにつかまって素手で滑走する独自の技法によって制作を始める。以降、身体の動きによるフット・ペインティングの大作を生み出し続けた。本展では、白髪の足の跡が明瞭に残る作品《蛭子》を展示し、足による多様な痕跡について考察する。

会場:尼崎市総合文化センター 白髪一雄記念室
会期:2024年10月26日〜3月23日

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