■今回の展覧会のコンセプトについて教えて下さい。
今回は、過去2年間に私が制作した作品を展示しています。私の好きなイメージやモデルを自然に寄せ集めた結果ですね。展覧会のタイトルになっている《Reality & Fantasy (現実と空想)》は、私の作品のほとんどに通じるコンセプトです。日常生活に対して、遊び心に満ちた視点。私の立体作品も平面作品も、幅広い視点で来場者に観て欲しいと思っています。
■あなたの作品には日用品やフルーツといった身の回りのものが使われていますが、モチーフや素材を選ぶ際にどこからインスピレーションを得ていますか?
私の身の回りにあるものがほとんどのインスピレーション源です。私のイメージに記録される日常生活の中から、何らかの「ミステイク」を見つけようとします。そうしたアイデアから、使用する素材が決定していきます。
■それぞれの作品の中に、手作業で仕上げた繊細さと美しさが見られますが、制作中に最も気をつけていることは何でしょうか?
作品を手がけているとき、最も重要なパートはアイデアをどれだけ取り入れる必要があるか、その適切なバランスを見つけることです。インスタレーションはミニマルになり過ぎると、非常につまらないものになったり、もどかしいものになったりするので、丁度良く収まる場所を見つけることが大切です。また、作品の完成度も極めて重要ですね。ただ、機械で作られたような作品にはしたくないので、フリースタイルな特徴は残しておきたいと思っています。
■多数の雑誌やブランドとのクライアントワークをされているようですが、コラボレーションするときに重点的に取り組むことは何ですか? また、今回の木之村さんとのコラボレーションについての感想を教えてください。
コラボレーションを行う際は、それぞれの雑誌やブランドが持つ「言語」をいつも心に留めておくようにしています。私のスタイルと他のものとのイメージにおける中間点を見つけること、その問題解決が重要な一環になってきます。木之村さんは私のアイデアを日本語に置き換えてくれ、どの要素が効果があるかないかについて選択するのが非常に上手な方でした。
■あなたが影響を受けたアーティストや作品はありますか?
影響を受けた作品はたくさんあります。Erwin WurmやDavid Shrigleyといったユーモアのあるアーティストが好きですが、Gabriel OrozcoやChema Madozといった詩的で繊細なアーティストも好きです。
■ベルリンを拠点に活動されていますが、ベルリンのアートシーンについてどう思われますか?
ベルリンのアートシーンは今のところ世界で最も進んでいると思います。多くのアーティストが街にやってきて、次々とスタジオを設立しています。経済的圧力を感じることなく、クリエイティブな活動ができるほど、いまだに家賃が安いのです。年間でおよそ3つの大きなアートイベントがあり、大勢のアート好きの人間たちがやってくる街なんです。
■日本のアートや文化であなたが現在興味のあることを教えて下さい。
例えば折り紙や、過去20年の間に日本で生産された発明品など、活動当初から日本の伝統工芸にずっと影響を受けていたこともあり、日本に行くことは昔からの夢でした。伝統と未来をあわせ持った美的感覚が東京にはあり、非常に興味深かったです。
■来場者にメッセージをお願いします。
私のメッセージは潜在意識的なもので、狙いを定めたものではありません。来場者の方の顔に笑顔をお届け出来れば嬉しいです。それが私にとって一番のごほうびですね。
Translation by Junko Hanzawa (Gestalten Japan)