公開日:2020年7月11日

千葉市美術館が拡張リニューアルオープン:待望の常設展示室も新設

千葉市美術館が拡張リニューアルオープン。地下2階から11階までがすべて美術館関連施設に

2020年7月11日、千葉市美術館が拡張リニューアルオープンを迎える。

今回のリニューアルでは、これまで区役所との複合施設であったフロアを改修し、11階建の建物すべてが美術館に。従来の展示室などに加え、千葉市美術館が誇る所蔵作品のハイライトをいつでも楽しめる常設展示室のほか、参加・体験型のアーティストプロジェクトを展開する子どもアトリエ「つくりかけラボ」や、美術にまつわる図書約4500冊を揃えた、開放感のある図書室などの施設が増設される。

葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》天保2-4年(1931-33)頃 千葉市美術館蔵(常設展示室「千葉市美術館コレクション名品選2020」展示作品)

 

第1弾の企画展

7月11日にスタートする拡張リニューアル後第1弾の企画展は、約1万点にものぼるコレクションから作品を厳選した「千葉市美術館拡張リニューアルオープン・開館25周年記念 帰ってきた! どうぶつ大行進」。古来より多くの動物たちが表され、多様な生き物のいる自然とともに生きてきた日本の姿が美術の中に示されてきた日本美術。2012年開催の人気企画展「どうぶつ大行進」のバージョンアップ版となる本展では、その後コレクションに加わった作品も多数交え、江戸時代の絵画や版画を中心に、約230点で室町から昭和の時代まで古今の多彩な動物イメージを紹介する。会期は7月11日〜9月6日。

同美術館ではその他、9月19日より「宮島達男 クロニクル 1995-2020」、2021年1月からは「ブラチスラバ世界絵本原画展 こんにちは! チェコとスロバキアの新しい絵本」、田中一村展―千葉市美術館所蔵全作品―」(仮称)などの展覧会が控えている。

長沢芦雪・曽道怡《花鳥蟲獣図巻》寛政7年(1795) 千葉市美術館蔵
石井林響《王者の瑞》大正7年(1918) 千葉市美術館蔵

 

待望の常設展示室

美術館の真骨頂といえば、館が長年をかけ積み上げてきたコレクションが揃う常設展示室。

このたび新設される千葉市美術館の常設展示室では、「近世から近代の日本絵画と版画「1945年以降の現代美術」「千葉市を中心とした房総ゆかりの作品」という3つの収集方針に沿って収集されたコレクション約1万点から、それぞれのハイライトを展示。1ヶ月おき(現代美術は3ヶ月おき)の展示替えにより、バラエティに富んだコレクションを堪能できる。

草間彌生《最後の晩餐》1981年 千葉市美術館蔵

 

リニューアル後の新施設

常設展示室以外のリニューアル後の新施設としては、昭和2年に建てられた旧川崎銀行千葉支店を保存・修復したさや堂ホールが美術館の顔としてエントランス化し、カフェ、ショップが新設される(新型コロナウイルスの影響によりカフェ、ショップについてはオープンが延期される可能性あり)。さらに、「子どもアトリエ(つくりかけラボ)」、図書室(びじゅつライブラリー)、ワークショップルーム(みんなでつくるスタジオ)、美術愛好団体や学生サークルなどが利用できる市民アトリエが新たにオープン。

子どもアトリエ(つくりかけラボ)

なかでも注目は、アーティストが滞在制作を行う「子どもアトリエ(つくりかけラボ)」。「五感で楽しむ」「素材にふれる」「コミュニケーションがはじまる」の3つのテーマを軸としたこのアトリエでは、アーティストが滞在制作を行い、訪れた人々と関わりながら、空間に合わせたインスタレーションを制作する。滞在制作が終わった後も、観客がラボに参加することで空間が常に変化し続ける、クリエイティブな「つくりかけ」の状態を創造するという内容だ。

この「子どもアトリエ(つくりかけラボ)」で初回に滞在制作を行うのは、人の遊び心やイマジネーション、創造力を育むデザインの現場で活躍する遠藤幹子。遠藤は、千葉にまつわる民話をもとに、来場者とともに物語の世界をつくり、遊びながら育てていく。会期は7月11日〜12月13日。

JR千葉駅からは徒歩圏内にあるこの美術館。1995年の開館以来、初の大規模リニューアルとなるこの機会に訪れてみてはいかがだろう。

小林清親《猫と提灯》明治10年 千葉市美術館蔵

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