美術館ではインテリアも楽しめる:アーティゾン美術館の注目ポイントを紹介

アーティゾン美術館のインテリアを紹介

In 特集記事 by Art Beat News 2021-01-18

作品を見て、思索し、感銘を受け、空想にふけるなど、日常とは異なる美術館での体験を後押しするのが、美術館のインテリアやデザイン。

都内にはいくつも美術館があるが、その中でインテリアやデザインの面からとくにおすすめしたい美術館のひとつが、2020年1月にオープンしたアーティゾン美術館だ。

その背景を知ればより美術館に行くのが楽しくなる、同館のインテリアとデザインを紹介する。

こだわりは美術館に入る前から

京橋駅から徒歩3分ほどの場所にあるアーティゾン美術館。荘厳さと開放感、現代的なイメージとが交差するその外観の印象をつかさどる重要な要素のひとつが、直径1.8m、高さ8mにおよぶ柱。その中でも、先頭の1本は1階を突き抜け、外部から内部に入り込み、そのまま3~5階の吹き抜け部分に石柱オブジェとして出現するという仕掛け。また、床の木材は 1階から6階まで、上層階にいくほど色が濃くなるグラデーションになっているというこだわりも。

美術館内装デザインはTONERICOが担当。「開かれた美術館」としての空間を目指し、視覚的にも感覚的にも都市に開かれた美術館が目指されている。

デザインコレクションに座る

美術館コレクションと言えば、一般的には展示室に飾られ眺めるもの。しかし、同館ではデザインコレクションの中から、日本のインテリアデザインを牽引した倉俣史朗(1934〜1991)の作品(家具)に誰もが座ることができる。設置場所は、6階展示室入口のロビー。メッシュ状の金属板であるエキスパンドメタルを使用した一人掛けソファと、「How High the Moon」の名で知られる有名なカッパー仕様のソファ(二人掛け)と、ほぼ未公開であった半月型の大型ガラスベンチ。デザインコレクションとしてそれぞれが貴重な作品で、それらが並び、実際に使用できるのはこの場所だけ。

また、空間のみならず家具もTONERICOのオリジナルデザインによって制作されたもの。四方から座れる展示室のソファ、造作家具など、親しみやすい美術館を実現するためのデザインが隅々まで光る。

サインにも注目

いっぽう、館内を歩いて気づくのが、コインロッカーやトイレといった施設の場所を示すサインの美しさ。建築の重要なアクセントでもあるこれらのサインシステムは、ピクトグラムをはじめオリジナルで開発されたもの。コンセプトは「Slit Light」。極細のLEDが文字やピクトグラムを浮き上がらせ、視認性向上と同時に空間に軽やかな印象を与えている。

カフェには貴重な作品が並ぶ

展示を見た後には、1階エントランス近くにあるミュージアムカフェに行こう。美術館インテリアと同じトーンのこのカフェでは、ウニの平打ちパスタ、きのこリゾット、シナモンバターオープンサンドなど、季節の食材を活かした料理やスイーツ、ドリンクを、厳選された食器類で楽しめる。このカフェで注目してほしいのは、飾り棚に展示されたイタリアデザイン界の巨匠、エットレ・ソットサス(1917〜2007)の作品。倉俣史朗の友人もであったソットサスによるヴェネチアンガラス器を中心に、1980年代に一世風靡したデザイナー集団「メンフィス」時代の貴重な作品も集まっている。オリジナル木製アームチェアに座って、趣向の凝らした食事と作品を楽しめるこのカフェは、ありそうでなかなかない一押しの贅沢空間だ。

館内の建築デザインとインテリアは、同館クリエイティブディレクターの田畑多嘉司が指揮。ニューヨーク近代美術館、ビルバオ・グッゲンハイム美術館、金沢21世紀美術館のように、街づくりに貢献する美術館を東京の中心地でも実現すべく、TONERICOらとともに開館まで約5年もの構想を費やし、実現した。

じつは、館内全体の家具や什器のみならず、チケットカウンター、チラシ置き台、ポスターケース、階段の手すりもすべてオリジナルのデザイン。素材は⾃然⽯が多用されるほか、スチールなどの既製品をそのまま使用せず加工するなど、美術品同様に細部にまで美意識が宿る。

美術館そのものも作品とも言えるようなアーティゾン美術館。次に訪れる際には、展示のみならず館内もじっくりと堪能してほしい。

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