レポート:エスパス ルイ・ヴィトン大阪がオープン。2人のアメリカ人アーティストの作品が共演

日本国内では東京に続き2軒目となるエスパス ルイ・ヴィトンが大阪にオープン

In Art Beat News Main Article 1 フォトレポート by Art Beat News 2021-02-13

大阪の南北を貫くメインストリート、御堂筋(みどうすじ)に面する「ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋」。心斎橋エリアの一角にあるこのメゾンの5階に、2月10日、アートスペース「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」がオープンした。日本国内では東京に続き2軒目となるエスパス ルイ・ヴィトンだ。

ハイブランドの路面店が立ち並ぶ大通りでもひときわ目を引くダイナミックなファサードは、建築家・青木淳のデザイン。かつて海の街であった大阪の歴史を形づくる菱垣廻船(貨物船)から着想を得たというもので、昼間は自然光を反射して軽やかに、夜はライトアップされ幻想的な表情をたたえる。

昨年2月にオープンしたそんな同所の5階に、このたび満を持して「エスパス ルイ・ヴィトン大阪」が開廊した。オープニング展はジョアン・ミッチェルとカール・アンドレの二人展「Fragments of a landscape(ある風景の断片)」だ。東京の約2倍の床面積とゆったりとした天井高の空間に、二人の作品が贅沢に共演する。

ジョアン・ミッチェル(1925〜1992) は、アメリカ・シカゴ出身の画家、版画家。シカゴ美術館附属美術大学で学び、1948年に渡仏、1949年までパリに滞在した。拠点とするニューヨークに戻ると、コンラッド・マルカ=レーリ、ウィレム・デ・クーニング、フランツ・クラインが設立した芸術家の集いの場「ザ・クラブ」(別名「8thストリート・クラブ」)の活動に参加。その後、ニューヨークとパリを往き来する生活を送っていたというが、1969年、クロード・モネが住んでいたことで知られるヴェトゥイユに居を構えると、豊かな色彩によって光に寄せる想いを表現しはじめ、ミッチェルは「抽象的印象派」と見なされるようになった。1972年以降、ミッチェルは大型作品に取組み、作家特有の官能的な色使いを存分に発揮していった。

本展で展示される三連画の《Untitled》(1979)や、ゴッホの《カラスのいる麦畑》を彷彿とさせる《Cypress》(1980)は、1980年代初頭、才能の絶頂期を迎えたミッチェルが風景画に回帰した頃の作品であり、鑑賞者に全盛期の自由な筆致を見せてくれる。

カール・アンドレは1935年、マサチューセッツ州のクインシー生まれ。アメリカのミニマル・アートを主導するアーティストの1人だ。建設関係者が多い環境で生まれ育ったアンドレは、アメリカの画家フランク・ステラの影響を受け、素材そのものへの愛着、厳格な制作姿勢、象徴性の拒絶という独自のスタイルを確立し、床や地面との関係の重視、ダイレクト・カービング(模型を造ったり鋳造をせず、 直接彫刻を掘ること)の手法を選んでいった。そして、ついには素材に手を加えることをやめ、煉瓦や丸太や規格品である合成コンクリートブロック、金属板などをそのまま使うことを選択した。

アンドレいわく、作品は周辺の環境と切り離せぬ関係を結んでいて、作品自体に固有の意味があるわけではない。そして作者が手を加えた痕跡も作品には残っていない。作家の代表的な作品に、地面に薄い金属板を置いたシリーズがあるが、これは、人々に上を歩いてもらうことで芸術作品の神聖視を打破することを意図しており、あらゆる物体と同じく芸術作品も摩耗することがあり得る、摩耗すべきだとの主張が込められているという。

本展で展示中の《Draco》(1979-2008)は、ウェスタンレッドシダー(ベイスギ)の材木を組み立てた作品であり、展示室の中央に設置されることで来場者の動きを妨げ、展示空間の構造を強調している。

一見するとまったく異なる二人の作品。しかし、ミニマル・アートが抽象表現を突き詰めた、あるいは批判的に継承する先にある表現でもあるということから、抽象画のミッチェルとミニマル・アートのアンドレの作品は切っても切り離せない関係にあるとも言える。本展は、緊張感に満ちた二人の共演であると同時に芸術潮流の移り変わりが現前化したものでもあるのだ。

現代アートとアーティスト、そして現代アーティストのインスピレーションの源となった重要な20世紀の作品に特化した芸術機関「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」の所蔵コレクションを紹介する「Hors-les-murs(壁を越えて)」の一環として企画された本展。会場では作品に加え、フォンダシオンにまつわる特別なインタビュー映像なども上映されている。ぜひ訪れてゆったりとした空間で贅沢な鑑賞体験を楽しんでほしい。

Art Beat News

Art Beat News. Art Beat Newsでは、アート・デザインにまつわる国内外の重要なニュースをお伝えしていきます。Tokyo Art Beatが紹介する数多くのイベント情報以外にも、独自の視点でピックアップします。 ≫ 他の記事

コメント

Instagram

人気記事

TABlogのそれぞれの記事は著者個人の文責によるものであり、その雇用主、Tokyo Art Beat、NPO法人GADAGOの見解、意向を示すものではありません。

All content on this site is © their respective owner(s).
Tokyo Art Beat (2004 - 2021) - About - Contact - Privacy - Terms of Use