建築界でもっとも権威ある賞のひとつであることから、建築界のノーベル賞とも称される「プリツカー賞」。2021年はアンヌ・ラカトンとジャン・フィリップ・ヴァッサルが率いるパリのラカトン&ヴァッサルが受賞し、これまで日本人では丹下健三、槇文彦、安藤忠雄、妹島和世+西沢立衛/SANAA、磯崎新らが受賞してきた。そして今年、アフリカ出身の建築家では初となるディエベド・フランシス・ケレ(Diébédo Francis Kéré)が受賞した。
ディエベド・フランシス・ケレは西アフリカ・ブルキナファソ出身の建築家。生まれ育った貧しい地域社会に貢献したいとの思いを発端に、サステナブルな建築様式を追求してきた。
フランシス・ケレが初めて手がけた建築物は、ベルリン工科大学在学中に設計し、寄付を集め、自身が生まれたガンド村で地元住民と協力して実現した「ガンド小学校」(2004)。輸入したソーラーパネルと地元で入手可能な泥レンガなどの資材を使い村人たちと協力して作り上げたこの建築は、気候変動の激しい村でも快適に過ごすことを実現。若年層の働き口がなく弱体化する村で建物を建てるだけではなく、その過程で村人たちが建設の技術を習得することも目的としていた。
2005年には、建築事務所「Kéré Architecture」とガンドでのプロジェクトを推進する非営利団体「Kéré Foundation」を設立。これまでにブルキナファソの国民議会やサーペンタイン・ギャラリーのパビリオン、ティペット・ライズ・アートセンターのパビリオン「Xylem」などを設計してきた。
オンライン講義を配信するTEDでは、電気や清潔な飲み水、学校もなかったというブルキナファソで生まれた彼の生い立ちや建築家として活躍するきっかけとなった初の建築物《ガンド小学校》についての話を聞くことができるので、気になる方はチェックしてほしい。