公開日:2026年9月24日

月と太陽が出会う場所で。アン・ヴェロニカ・ヤンセン日本初個展「東京、銀座5丁目4-1」が銀座メゾンエルメスで開幕

会期は9月11日〜2027年1月11日

「東京、銀座5丁目4-1」アン・ヴェロニカ・ヤンセン展 展示風景(2026) © Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

ひとつの住所が招待状になる

銀座メゾンエルメス ル・フォーラムにて、ベルギー・ブリュッセルを拠点に活動するアーティスト、アン・ヴェロニカ・ヤンセンの日本初個展「東京、銀座5丁目4-1」が開催されている。会期は2027年1月11日まで。

1956年イギリス・フォークストン生まれのヤンセンは、1970年代後半、合板やガラス、コンクリートといった簡素な素材による制作からキャリアを始めた。1990年代に入ると、光や音、人工霧といった、手に取ることのできない要素を主な媒体とするようになる。展示空間そのものの固有性を問うミニマリズムや、空間と光を科学的に扱うライト&スペースの潮流とも響き合いながら、その作品はあくまで控えめな佇まいで観客の前に立ち現れる。彫刻やインスタレーション、映像、写真作品に加え、振付家ピエール・ドゥルーラーやアンヌ・テレサ・ドゥ・キールスマケルらとの協働による舞台美術も手がけるなど、活動の幅は広い。2009年には、アーティストと科学者が空間・時間・身体・脳の関係を探るプロジェクト「ブレイン・スペース・ラボラトリー」をナタリー・エルジーノと共同で立ち上げ、学際的な対話にも活動を広げてきた。

アン・ヴェロニカ・ヤンセン 「東京、銀座5丁目4-1」アン・ヴェロニカ・ヤンセン展 展示風景(2026) © Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

本展のタイトル「東京、銀座5丁目4-1」は、会場である銀座メゾンエルメス ル・フォーラムの住所そのものだ。内覧会でヤンセンは、この場所が持つ響きの美しさに惹かれてタイトルを選んだと明かし、来場者への招待状であり、「月と太陽のランデヴーのようなもの」だと語った。

「東京、銀座5丁目4-1」アン・ヴェロニカ・ヤンセン展 展示風景(2026) © Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

住所という具体的な座標をタイトルに据えるまなざしそのものが、場所に対するヤンセンの身体的・感覚的・概念的なアプローチを物語っている。実際、本展を構成する90年代以降の一連の作品は、いずれも特定の住所と、その空間を実際に観察するところから立ち上がったものだ。拡散する光を素材として扱う《Rose》、一瞬の痕跡を留める青いグリッターの《Untitled(blue glitter)》、熱に反応するフィルムを座面に張ったブランコ《Swings》、自身の声を媒体とする新作《Donut》など、10点あまりの作品群が並ぶ。

「東京、銀座5丁目4-1」アン・ヴェロニカ・ヤンセン展 展示風景(2026) © Nacása & Partners Inc./ Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès