「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2023」会場風景 撮影:編集部
マリンメッセ福岡B館での初開催となる「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2023」。昨年に比べて約4倍となる約5000平米の広さを活かし、アートの魅力と熱気がひとつの会場に集約されたアートフェアとなった。2015年より福岡で始まったこのフェアは、「日本とアジアのアートマーケットの架け橋に」をテーマに、国内の文化芸術の魅力をアジアへ発信し、アジアの玄関口として機能する福岡の街を盛り上げるきっかけのひとつとなっている。
コンテンツ盛りだくさんの、3日間の全貌をお伝えする。
ブースは、「ASIA」、「Unlimited」、新設の「The Wall」という3つのセクションから構成されている。「ASIA」では、東京画廊+BTAP(東京/北京)、小山登美夫ギャラリー(東京)、Vin Gallery(ホーチミン)、Artemis Art(クアラルンプール)など13の海外ギャラリーを含む22ギャラリーが出展。「Unlimited」では、初出展のMAKI Galley(東京)、N project(大阪)、YIRI ARTS(台北)、そしてミヅマアートギャラリー(東京/シンガポール/ニューヨーク)、ときの忘れもの(東京)など新進気鋭の若手から老舗まで、実力派の82ギャラリーが出揃っていた。
新設の「The Wall」セクションでは、レントゲン藝術研究所準備室(東京/金沢)、YUKI-SIS(東京)、FINCH ARTS(京都)、GALLERY SOAP(北九州)など15ギャラリーが出展し、壁面を彩った。
アジアのアートシーンの現在と未来を語るトークイベントも3日間開催。「ベトナム・アートシーンの現在とこれから」や「アジアの多様性と未来」など9回に渡るトークゲストには、宮津大輔(AFAF2023スペシャル・アドバイザー)を筆頭に、シャビーン・シン(Cohar共同創業者/Vin Gallery創業者)、岩瀬幸子(nca | nichido contemporary art ディレクター)、明石ガクト(ワンメディア株式会社代表取締役CEO)、孫泰蔵(連続起業家/ベンチャー投資家)など総勢17名が登壇する。
アーティスト、キュレーター、美術評論家、投資家やデザイナーなど様々なバックグラウンドを持つ登壇者が繰り広げるトークには、アジアのアートシーンの“いま“をとらえられる情報が詰まっている。
会期内には、“Fukuoka Art Next” の一環として開催されるアートイベント「FaN Week」の同時開催も。市民がアートに触れる機会を増やすために、福岡市内がアートに染まっていく。
2023年度の福岡アジア美術館アーティスト・イン・レジデンス事業の成果展となる「ダイアローグー交信する身体」では、参加した山本聖子(福岡)、清水美帆(東京)、ジン・チェ&トーマス・シャイン[チェ+シャイン・アーキテクツ](アムステルダム)などの3組のアーティストたちが、その成果を立体作品や映像を用いたインスタレーションとして発表された。ほかにも宮津大輔がキュレーションするブース「Leading ASIA」では、「Storyteller(物語の語り手)」をテーマに、社会課題・アフター/ウィズ・コロナの状況などを扱った作品を中心に展開される。
福岡がアートに染まる3日間。国際競争力のある都市・福岡を目指し、ART FAIR ASIA FUKUOKA 2023が築き上げてきた、日本とアジアのアートマーケット。韓国との距離も近い福岡は、東京や京都、大阪などアートフェアが行われている地域の中でも毛色の異なる存在である。街としての魅力も併せ持つ福岡が、アジアのアートマーケットの中でどのような拠点になっているのか、ぜひその目で確かめよう。