公開日:2022年4月21日

Chim↑Pomが改名し、Chim↑Pom from Smappa!Groupに。森美術館への異議申し立てを込めて

森美術館がホストクラブからの展覧会協賛を拒否

Chim↑Pom from Smappa!Groupロゴ

アーティスト集団「Chim↑Pom(チンポム)」が、各SNS上でグループの改名を発表した。新たな名前を「Chim↑Pom from Smappa!Group」とし、4月27日付での改名となる。ことの発端は、森美術館で開催中の「ハッピースプリング」展の協賛に名乗りをあげていた「Smappa!Group」の申し出を美術館側が拒否したことによる。

Chim↑Pomのメンバー、エリイのパートナーでもある手塚マキが経営するSmappa!Groupは、新宿・歌舞伎町で6店舗のホストクラブを運営。そのほかにもギャラリー兼バー「デカメロン」や歌舞伎町初の書店「歌舞伎町ブックセンター」(現在は休止中)も手がけ、アート界隈とのつながりも深い。エリイと手塚の結婚披露宴を街頭デモ化した《LOVE IS OVER》(2014)、解体が決定していた歌舞伎町のビルまるごとを使って展覧会を行った「また明日も観てくれるかな?」展(2016)など、代表的なプロジェクトでも重要な協働者として活動してきた。

ステートメントによれば、美術館側がChim↑Pomに協賛企業探しの協力要請を行ったにもかかわわらず、水商売であることを理由にSmappa!Groupのみが協賛を拒否されたという。この経緯についてChim↑Pomは以下のように述べる。

Chim↑Pomの個展は主催するがSmappa!Groupの協賛はNGとする。これを、アートによる「多様性」と取るか「『多様性』の搾取」と取るかは、議論が必要かと存じます。

今後、Chim↑Pomとのお付き合いを望まれる全ての団体におかれましては、私どもが際どい社会人であることを改めてお見知りおき頂き、間違ってもただの「健全」なグループだと勘違いなされませんよう、深くお願い申し上げます。

また、協賛を拒否されたSmappa!Groupは同社ホームページで声明を出している。以下に引用したのはその一部。

今回のように「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に定める許可又は届出に基づく営業を行っている事業者に対し、掲載基準外と定めている企業・団体は非常に多く、風営法に関連のないグループ事業においても広告・求人媒体に掲載できないことは我々にとって日常茶飯事です。企業や団体は法律の範囲内において自由な取り決めを行い、客を選ぶことができますが、法的な見地はさておき、なぜその取り決めがあるのか?について問い、話し合う機会を持ち、向き合い続けることを諦めない姿勢を表現する、Chim↑Pomの改名案に賛同いたしました。

これまで通り私たちは決して日陰に隠れることなく、私たちが提供するサービスの価値に胸を張り、ホストとして、社会人として皆さまと共に歩んで参ります。 

一連の問題について、Chim↑Pomは「Chim↑Pom from Smappa!Groupを正式名称として、全ての媒体や広報物において使用を徹底して頂くこと」「引き続き、Smappa!Groupの協賛金受け取りとロゴの掲載をご検討いただくこと」を森美術館に要求している。また、展覧会開催や一連の問題解決のために美術館スタッフが全力で取り組み努力していたことへの謝意を表明しているが、森美術館の決定が結果として、職業差別やジェントリフィケーションに抵触しているとも批判している。

同展では、初期代表作《スーパーラット》(2006〜)の美術館内展示不可や、「ミュージアム+アーティスト共同プロジェクト・スペース」の運営方法などをめぐり、美術館と作家とのあいだで議論が行われてきたが、今回の改名発表もその延長にある模様だ。

今回の決定を受けて、Chim↑Pomは取り扱いギャラリーのANOMALYで展覧会「Chim↑Pom from Smappa!Group」を4月27日から、活動初期からバックアップしてきた無人島プロダクションで4月30日から回顧展「いつのことだったか思い出してごらん」を開催するという。

4月20日昼時点で森美術館からの声明はないが、今後の展開に注視したい。

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