公開日:2022年5月25日

デス・スター、X-ウイングなど『スター・ウォーズ』のコンセプトデザインを手がけたコリン・キャントウェルが逝去

『スター・ウォーズ』『2001年宇宙の旅』などに参加

生前のコリン・キャントウェル。「CoreFires | Colin Cantwell | Talks at Google」より(https://www.youtube.com/watch?v=OkbSudCirwk)

『スター・ウォーズ』のヴィジュアルの一端を創造したデザイナー

映画史に大きな影響を与えたSF映画『スター・ウォーズ』に参加し、デス・スター、X-ウイング、TIEファイターなどをデザインしたコリン・キャントウェルが5月21日にアメリカ・コロラド州の自宅で亡くなった。享年90。

1932年カリフォルニア・サンフランシスコで生まれたキャントウェルは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校でアニメーションの学位を取得後、建築家のフランク・ロイド・ライトのもとで建築デザインを学んだ。

1960年代にはNASAのジェット推進研究所やルーベン・H・フリート科学センターで宇宙関連の映像制作などに携わったのち、映画監督・SFXスーパーヴァイザーであるダグラス・トランブルとともに、スタンリー・キューブリック監督作『2001年宇宙の旅』の視覚効果スタッフとして参加。その後、1974年に『スター・ウォーズ』のプロダクションに参加し、1977年公開の第1作(のちに『エピソード4 / 新たなる希望』に改題)のコンセプトモデル制作に参加。数々の歴史に残るデザインを手がけた。

『スター・ウォーズ』のプロダクションでは、「キット・バッシング」と呼ぶ手法でいくつかの試作モデルを制作。これは、既存のパーツを複数組み合わせて新しいモデルを制作する方法で、このプロセスを介することで観客が一目で味方と敵の宇宙船を見分けられるようなデザインを実現することをキャントウェルは同作内で目指した。

その創造の一端は、X-ウイングにも残されている。エックス型の翼が特徴的な同機の源泉は、イギリスのパブで的に向かって投げられたダーツだったという。このほかにも、エピソード4の終盤「ヤヴィンの戦い」で観客に鮮烈な印象を残すデス・スター表面のトレンチ(塹壕風の溝)は、金型を使って作業しているときに偶然生じたもので、この窪みを埋める労力を省くためにキャントウェルは監督のジョージ・ルーカスにその造形を残すアイデアを提案した。このように、すでにある造形やプロダクトが持つ特性を巧みに活かし、豊富な科学的知識を反映させたデザインがキャントウェルの特徴とも言えるだろう。

Art Beat News

Art Beat News

Art Beat Newsでは、アート・デザインにまつわる国内外の重要なニュースをお伝えしていきます。