日本では50年ぶりの大キュビスム展となる、「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」展が、国立西洋美術館で10月3日〜2024年1月28日に開催される。
ジョルジュ・ブラックやパブロ・ピカソをその創始とする、20世紀初頭に起こった「キュビスム」という手法。幾何学的に平面化された形によって画面を構成するこの試みは、ルネサンス以来、写実的な遠近法に基づいて行われてきた西洋絵画の常識から画家たちを解放し、西洋美術の歴史にかつてないほど大きな変革をもたらした。
世界屈指の近現代美術コレクションを誇るフランス・パリのポンピドゥーセンターの所蔵品のなかから、キュビスムの歴史を語るうえで欠くことのできない貴重な作品が多数来日する。展示作品数は、主要作家約40人による絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料など約140点。そのうち50点以上が日本初出品となる。
ポンピドゥーセンターを象徴する大作のひとつである、幅4mの大作ロベール・ドローネーの《パリ市》も初来日。ピカソのプリミティヴな裸婦像に衝撃を受けて制作されたブラックの重要作《大きな裸婦》(1907〜08、日本初出品)、ポンピドゥーセンターを代表するピカソのキュビスム絵画《肘掛け椅子に座る女性》(1910)も必見だ。
ほかにも展示では、ポール・セザンヌやアンリ・ルソーの絵画、アフリカの彫刻など、キュビスムの多様な源泉を探る「キュビスムの起源」から始まり、ピカソとブラックがそれらを大胆に解釈しながら、緊密な共同作業によって全く新しい絵画を発明する軌跡を追っていく。ピカソやブラックとは異なるアプローチでキュビスム旋風を巻き起こした「サロン・キュビスト」である、キュビスムの展開に重要な役割を果たしたフェルナン・レジェ、フアン・グリス、ロベール・ドローネー、ソニア・ドローネー、そしてキュビスムを吸収しながら独自の作風を打ち立てていったマルク・シャガールなど、国際色豊かで個性的な芸術家たちも紹介される。