公開日:2022年5月31日

京都のおすすめアートホテルまとめ【デザイン編】

京都市内のデザインに注目したいホテルを紹介。有名建築家の手がけた最新ホテルから、リノベーションした京町家の貸切宿泊施設、北欧ブランドのカプセルホテルまで

「エースホテル京都」ロビー。宿泊者以外も利用することができる

注目の展覧会や芸術祭が多数行われる京都で、建物や客室アイテムのデザインにこだわった注目の宿泊施設をピックアップ。現代美術作品にこだわりのある「現代アート編」のホテルとあわせてチェックしてほしい。

エースホテル京都

アメリカ・シアトル発のエースホテルがアジア初進出。2020年、烏丸御池駅にほど近い複合商業施設「新風館」のなかにオープンしたのが「エースホテル京都」だ。建築家・隈研吾とLAを拠点とするデザインチームのコミューンデザインとのコラボレーションのもと改装した同ホテル。「地域のコミュニティの場」として宿泊者以外も訪れることができるロビーの天井には、京都の杉を使った木組みに無数の小さな照明が配された構造が。「East Meets West」のコンセプト通り、東洋と西洋を組み合わせたデザインが目を引く。イラストの展示から環境問題をテーマに据えたものまで幅広いトピックを扱った展覧会やDJイベントなど、定期的に開催している企画もチェックしておきたい。

住所:京都府京都市中京区車屋町245-2
https://jp.acehotel.com/kyoto/

Exterior of Ace Hotel Kyoto
The lobby of Ace Hotel Kyoto is open to non-guests as well
Ace Hotel Kyoto Room: Historic Twin

丸福樓

2022年4月にオープンしたばかりの「丸福樓」は、建物に注目。建築家・安藤忠雄の設計監修のもと、1930年竣工の任天堂旧本社社屋を改修した「既存棟」と新たに増築された「新築棟」によって構成される。客室は7つのスイートルームを含む全18室。館内には、料理家・細川亜衣が空間デザインと料理メニューを手がけたレストラン「carta.」や軽食が楽しめるラウンジ、任天堂の歴史を知ることができる「ライブラリー dNa」なども。レトロな雰囲気が漂う建築のなかで、贅沢な時間が楽しめること間違いなしだ。

住所:京都市下京区正面通加茂川西入鍵屋町342
https://marufukuro.com/

Exterior of Marufukuro
Suite in the existing building of Marufukuro
Lounge of Marufukuro

THE REIGN HOTEL KYOTO

十条駅から歩いて行ける「THE REIGN HOTEL KYOTO(ザ・レインホテル 京都)」は、眠り・食・アートをテーマに据えたデザインホテル。元々アートギャラリーだった鴨川近くの敷地で、2021年にオープンした。柳原照弘の監修のもと、客室やレストランにはKvadratやHAY、SKAGERAKなどの北欧インテリアを配されており、ロゴやグラフィックはデンマークのAll the Way to Parisのディレクションによるものなど北欧デザインで統一。柳原が合わせて手がけている1階レストラン・カフェではデンマークの伝統料理や京都の食材を取り入れた朝食が楽しめる。贅沢な朝食で1日を始め、芸術祭や美術館へ出発しよう。

住所:京都府京都市南区東九条柳下町67−1
https://reignhotel.jp/

Exterior of The Reign Hotel Kyoto
Restaurant of The Reign Hotel Kyoto
Guest room of The Reign Hotel Kyoto

hotel tou nishinotoin kyoto

京都駅から徒歩圏内、西本願寺と東本願寺に挟まれた場所にある「hotel tou nishinitoin kyoto」は「奥」をコンセプトに掲げるホテル。各所に配された「迎石」によって、訪れた人々に石の奥に広がる空間を想像させることが意図されている。空間デザインを監修する谷尻誠と吉田愛らのSUPPOSE DESIGN OFFICEや、ロビーに併設されたライブラリーの選書を手がける幅允孝によるBACH(バッハ)を筆頭に、デザインやアートワーク、料理のディレクションなどで多様なクリエイター集団が参画している。

住所:京都府京都市下京区西洞院町455
https://www.hotel-tou.com/

Exterior of Hotel Tou Nishinotoin Kyoto
Front lobby of Hotel Tou Nishinotoin Kyoto

MAJA HOTEL KYOTO

フィンランドのプロダクトデザイナー、ハッリ・コスキネンがデザインするカプセルホテル「MAJA HOTEL KYOTO(マヤ ホテル キョウト)」は2019年オープン。場所は京都文化博物館の近く、河原町エリアだ。客室のカーテンと寝具は、コスネキンがデザインしたテキスタイルパターンを、マリメッコが制作したもの。カフェの食器もフィンランドのイッタラのものを中心にセレクトするなど、フィンランドアイテムで統一されている。また、併設するカフェアアルトの本店は、スカンジナビアデザインを代表する建築家のアルヴァ・アアルトが設計。初の海外進出となる京都店ではアアルトがデザインした机やソファーなどを用いて、アアルトデザインを堪能できる本店の雰囲気を持ち込んでいる。京都にいながら、北欧のゆったりした空気を味わえるだろう。

住所:京都府京都市中京区槌屋町92
https://maja-hotel.com/

Exterior of Maja Hotel Kyoto
Dormitory of Maja Hotel Kyoto

MALDA Kyoto

京都の静かな街並みを残す姉小路通りにある「MALDA Kyoto」は2018年にオープン。デザイナーであるヨーガン・レールのブランド、ババグーリに囲まれた生活を体験できるホテルだ。建物はババグーリ京都の向かいのビルを、建築家・藤本信行とリノベーション集団cotoの協働によりリノベーションしたもの。洋服や食器、家具、ボディケア用品に至るまで多岐にわたるババーグリのアイテムを楽しめる同館の客室は各階に1部屋ずつ、「赤(AKA)」「青(AO)」「墨(SUMI)」の3部屋のみ。1日3組限定で宿泊を受け付けている。

住所:京都府京都市中京区丸木材木町684
https://www.maldakyoto.com/

Exterior of Malda Kyoto
Guest room of Malda Kyoto

THE SCREEN

京都御所近くの「THE SCREEN」は国内外のクリエイターがデザインしたセレクタブルホテル。13室のゲストルームを、入江明日香、Kan Sano、HARE DESIGN、久保秀朗、中山英之、都島有美、斉藤上太郎、石橋直樹、松井征心、MIKITYPE、haru.、とんだ林蘭、中村哲叡という13組のクリエイターがそれぞれ手がけている。たとえば、中山 英之が手がけるRoom No.202は「nowhere garden(どこにもない庭)」というコンセプト。壁に水墨画のようなタッチの木や風景が描かれ、グレーを基調とした空間が広がっている。とんだ林蘭ディレクションのRoom No.302は鮮やかなオレンジのリビングスペースとパステルカラーのベッドスペースが印象的だ。客室ごとに異なる趣を持った同館は、部屋選びから楽しめるはずだ。

住所:京都府京都市中京区下御霊前町640-1
https://www.screen-hotel.jp/

Exterior of The Screen
Room No. 202 of The Screen designed by Hideyuki Nakayama
Room No. 302 of The Screen designed by Rinran Tonda

MOGANA

二条城にほど近い「MOGANA」は、建築家・山口隆設計の「装い」に重点を置いた宿泊施設。名前の由来は「~であればいいなあ」という願望を意味する古語「もがな」だ。同館の特色は各種グッズの充実ぶり。バスアメニティはSHIGETA Paris、クッション、歯ブラシ、部屋履きサンダルのデザインはmatohu(まとふ)、食器はAwabiware、ルームウェアは​​Syale、マグなどはMOHEIMのものを取り揃えている。宿泊してみれば、きっと日常で取り入れたいお気に入りのアイテムが見つかるはず。

住所:京都府京都市中京区壺屋町450
https://yadomogana.com/

Exterior of Mogana
Guest room of Mogana

京の温所 西陣別邸

「京の温所」株式会社ワコールがプロデュースする一棟貸切式の宿泊施設。2019年にオープンした「西陣別邸」はおよそ築100年の2階建ての京町家を、建築家の中村好文がリノベーションを手がけた。室内各所には、ミナペルホネンのデザイナー・皆川明がセレクトしたアートピースが配置。ワインセラーを備えたキッチン、中庭を望むヒバ風呂と自然光が注ぐシャワールームなど、京都で贅沢な時間を過ごすにはぴったりの町家宿だ。
ほかにも宿泊者限定、「1日1組のための展覧会」が開催されるギャラリースペースやベーカリー&カフェが併設する「竹屋町」や、クリエイティブユニットgrafがてがけた「御所西」など、京都市内に7つの宿泊施設を展開する「京の温所」。合わせてチェックしてほしい。

住所:京都府京都市上京区浄福寺通今出川下る堅亀屋町265-1
京の温所:https://www.kyo-ondokoro.kyoto/
京の温所 西陣別邸:https://www.kyo-ondokoro.kyoto/facility/nishijin-villa.html

Exterior of Kyo no Ondokoro Nishijin Villa
Living room of Kyo no Ondokoro Nishijin Villa
Bedroom of Kyo no Ondokoro Nishijin Villa

東山 四季花木

東山駅すぐに所在する「東山 四季花木」は2019年にオープンしたラグジュアリーホテル。手がけたのはともに同館のオーナーでもある建築家・川上隆文とインテリアデザイナーの北山ますみだ。茶道に学んだという客室は、華美な装飾を避け、土壁や京唐紙などを用いることでわびさびを感じさせる静謐な空間を実現。骨董家具や陶芸、アート作品などが配されている。ルーフトップテラスから望む比叡山や近隣の寺社の景色が、日常の喧騒を忘れさせてくれるだろう。

住所:京都府京都市東山区今小路町85-1
https://www.shikikaboku.jp/

Exterior of Higashiyama Shikikaboku
1st Floor of Higashiyama Shikikaboku
Guest room of Higashiyama Shikikaboku

浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。