公開日:2022年4月21日

京都のおすすめアートホテルまとめ【現代アート編】

京都市内を中心に、現代美術家が手がけた旅館から若手アーティストのためのホステルまで紹介。

「BnA Alter Museum」Ryuichi Ohira "Goen no Ma" Photo by Tomooki Kengaku

展覧会や芸術祭、アートフェアなど、足を運びたいイベントがいつも豊富な京都。訪れた際には、宿泊施設でありながら作品を身近に感じることのできる「アートホテル」を利用してみてはいかがだろうか。この記事では、現代アートを楽しめる注目アートホテルを8軒紹介。建築や客室アイテムにこだわった「デザイン編」と合わせて、ぜひ宿選びの参考にしてほしい。

RC HOTEL 京都八坂

旅館やホテルが数多く存在する清水坂近くにある「RC HOTEL 京都八坂」は住居として使われていたアパートを改装したホテル。建物は京都では珍しい鉄筋コンクリート造りになっている。客室はアート、古道具、グリーンと3つの異なるテーマのもとコーディネート。建物の持つインダストリアルな雰囲気を残しつつ、それぞれに異なる趣向が感じられるはずだ。
企画展が開催されることも、同館の特色のひとつ。近年は飯川雄大、川田知志、黒田大スケ「旅中の天 旅にでて、また旅にでる」展やqp「2040年11月10日は土曜日である」展を開催してきた。

住所:京都府京都市東山区八坂上町370
https://rchotelkyoto.com/contact

Exterior of RC Hotel Kyoto Yasaka
Guest room of RC Hotel Kyoto Yasaka

すみや亀峰菴

「すみや亀峰菴」は1955年に京都府亀岡市の湯の花温泉で創業した、これまでジョン・レノンとオノ・ヨーコ、松田優作なども宿泊した老舗旅館。同館は温泉や和の室礼、四季折々の料理など日本の伝統を重んじつつも、ソムリエを置いた本格的なオーストリアワインの提供やインドの伝統療法アーユルヴェーダを用いたサービスなど、旅館の在り方を更新し続けてきた。
2021年のロビー兼ギャラリーのリニューアルでリノベーションを担ったのは現代美術家・柳幸典。現在は、ビキニ環礁に沈んだ戦艦をモチーフとした《長門》をはじめとする柳の作品を展示している。

住所:京都府亀岡市稗田野町柿花宮ノ奥25
旅館:https://www.sumiya.ne.jp/
ギャラリー:https://hakutai.sumiya.ne.jp/

Entrance of Sumiya Kiho-an Photo by Hayato Wakabayashi
Hot Spring in guest room at Sumiya Kiho-an

BnA Alter Museum

鴨川沿い、四条と五条の間にある「BnA Alter Museum」は2019年にオープン。クリエイティブ集団「BnA」が手がける高円寺、秋葉原に次ぐ3軒目のホテルだ。31の客室をプロデュースするのはライゾマティクスの真鍋大度や、パラモデルの中野裕介、梅田哲也、EY∃など16人のアーティストと9人のアートディレクター。それぞれまったく様相を異にする客室は、訪れるたび新鮮な宿泊体験が楽しめるはずだ。
10階建てという縦長のスペースを利用し非常階段には「Stair Case Gallery」として作品も展示される。「宿泊型ミュージアム」をテーマに掲げる同館で、滞在しながらアートを味わおう。

住所:京都府京都市下京区天満町267-1 
https://bnaaltermuseum.com/

Exterior of BnA Alter Museum
BnA Alter Museum - Mizuguchi Guchi "Galápagos Danchi" Photo by Tomooki Kengaku

node hotel

「node hotel」は四条烏丸エリアに所在。非日常としての贅沢ではなく、暮らしのなかにアートが感じられるように「アートコレクターの住まい」をコンセプトにしたホテルだ。パブリックスペースと客室では、バリー・マッギー、五木田智央、大竹伸朗、荒木経惟、井田幸昌などの作品が展示。ホテル名に冠された「node」は結節点を意味し、地域と旅行者をつなぐべく開かれたコミュニティの形成が目指されている。

住所:京都府京都市中京区蟷螂山町461
https://nodehotel.com/

Exterior of Node Hotel
1st-floor public space of Node Hotel

ホテル アンテルーム 京都

「ホテル アンテルーム 京都」は烏丸線九条駅と十条駅のあいだにある、アパートのように長期滞在も可能なホテル。2016年に学生寮として使用していた棟を客室へと一新し、リニューアルオープンした。客室は蜷川実花、名和晃平、ヤノベケンジ、金氏徹平らによるコンセプトルームと絵画作品が配されたリーズナブルなスタンダードルームがあり、どちらも魅力的だ。館内にはレストランやバー、京都を拠点に活動するクリエイターを紹介する「GALLERY9.5」、音楽イベントやワークショップが開催されるスペースも。

住所:京都府京都市南区東九条明田町7
https://www.uds-hotels.com/anteroom/kyoto/

Guest room of Hotel Anteroom Kyoto

青春画廊

「青春画廊」は宿泊しながら現代美術作品を鑑賞することができる美術画廊。清水寺にほど近い「東山」と、北野天満宮の目と鼻の先にある「西陣」がある。どちらの建物も、パラモデルのハヤシヤスヒコが老朽化した京町屋を改装したものだ。ハヤシ自身がセレクトする展示作品は宿泊者のみが貸切で鑑賞でき、購入も可能。宿泊は1日1組限定で、最大5名まで利用できる。
京都在住の美術作家や美大生が運営しており、宿泊者が楽しめることはもちろん、作家の経済的な支援としても役割を担う同スペース。貸切ならではのアットホームな雰囲気で作品を楽しめるはずだ。

住所:(東山)京都府京都市東山区東山区池殿町214-4
(西陣)京都府京都市北区紫野下柏野町7-27
https://www.facebook.com/galleryoftheyouth/

Exterior of Gallery of the Youth Nishijin
2nd-floor guest room of Gallery of the Youth

KAGAN HOTEL

賑やかな京都中央市場近くの「KAGANHOTEL」は2019年にオープンした野菜卸の女子寮兼倉庫をリノベーションしたアートホテル。ホテルであると同時に、若手アーティストが共同生活を送りながら作品を制作するレジデンスの役割を持つ。そのためイベントスペースやカフェバー、リーズナブルなホステルはもちろん、アトリエや撮影スタジオ、アーティストのためのシェアハウスがあることが特徴だ。滞在中のアーティストのなかには、制作しながらスタッフとして働く人もいる。宿泊はもちろん、イベントスペースに足を運ぶだけでもOKな同館。訪れた際にはアーティストと気さくに話をしてみよう。

住所:京都府京都市下京区朱雀宝蔵町99
https://kaganhotel.com/

Exterior of Kagan Hotel Photo by Atsushi Shiotani
Guest room of Kagan Hotel Photo by Atsushi Shiotani

We Base 京都

「WeBase 京都」は烏丸線四条駅と五条駅の間にあるホステル。「新たなコミュニティ交流のきっかけ」をコンセプトに掲げ、旅行者と地域をつなぐことを目指している。ラウンジには現代美術家ヤノベケンジと和紙作家堀木エリ子のコラボレーションによる巨大絵巻障子 《Picture scroll of SHIP’S CAT》と光るオブジェ《SHIP’S CAT(Totem)》を展示。大航海時代に「旅の守り神」として世界中を旅してきた猫をモチーフにした《SHIP’S CAT(Totem)》は未来ある若者の旅を後押しするための「出発」「希望」「誕生」といった意味が込められている。

住所:京都府京都市下京区岩戸山町436-1
https://we-base.jp/kyoto/

Exterior of WeBase Kyoto
Lounge of WeBase Kyoto. In the background are "Picture Scroll of Ship's Cat" and “Ship's Cat (Totem)" by Kenji Yanobe and Eriko Horiki.

浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。