公開日:2023年12月8日

東京・町田市立国際工芸美術館(仮称)の建設が難航。3回目の施工業者選定が不調、開館予定時期が不透明に

町田市立国際版画美術館に隣接し、2026年に開館予定だった新美術館。その施工業者の選定が不調続きで整備計画が難航している。

町田市が公園と国際工芸美術館・版画美術館の一体的な整備計画を示した「芹ヶ谷公園”芸術の杜”プロジェクト DESIGN BOOK」よりイメージ図

東京都町田市が2026年にオープン予定だった町田市立国際工芸美術館(仮称)の3回目の施工業者選定が不調に終わり、開館時期の見直しを余儀なくされている。それを受け市は12月1日に、アート・カルチャー拠点として芹ケ谷(せりがや)公園と工芸美術館、既存の町田市立国際版画美術館(1987年開館)を一体的に整備する「“芸術の森”パークミュージアム」の整備運営事業者を選ぶプロポーザルも中止。市民の一部が計画見直しを求めている新美術館の建設は難航している。

同館の施工にあたり市は過去2回、条件付き一般競争入札を実施したが、いずれも参加した事業者はゼロ。今年8月から契約限度額などを増額して公募型プロポーザルを実施したものの、技術提案書提出期限の10月18日まで参加者はなかった。建設費の高騰や技術者不足が背景にあるとみられ、市の担当者は「美術館を新設する予定に変更はない」としている。

計画によると、国際工芸美術館は同市原田町の芹ケ谷公園内の国際版画美術館の裏側斜面に両館を連結して建設。地上3階建てで延床面積約2000平方メートルを予定し、3つの展示室や収蔵庫、屋上テラス、トラックヤードなどを備える。所蔵品は、2019年に閉館した市立博物館のガラスや陶磁器などを引き継ぐ。また版画美術館を一部改修し、現代アートの展示や活動に適したスタジオやラボがある「アートステージ」と呼ぶ空間を新たに設ける。公園と2つの美術館を一体的に整備するデザイン監修と設計業務は、オンデザイン+stgk+YADOKARIの設計JV(企業共同体)が担当している。

国際工芸美術館の建設をめぐっては、周辺住民らが「自然が破壊される」「平地に建設するよりも多額の事業費がかかる」などと計画見直しを求めて署名活動などを行っている。

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