
「2-8-13」外観
メゾン マルジェラが、ブランドのアーカイヴ資料をフィジカルとデジタルの両面から掘り下げるプロジェクト「Maison Margiela/folders」の新章を10月20日に公開した。2026年に始動した同プロジェクトは、アーカイヴを通して、そのクリエイションやアイデンティティを探るリサーチ・ドキュメンテーションプロジェクト。ブランドのクリエイションを象徴するテーマや、その背景にある思想を記録・紹介している。
2026年4月には中国で、ブランドを象徴する「アーティザナル」「タビ」「ビアンケット」などのテーマにまつわる展示や体験型イベントを開催した。公開された資料はデジタル上でも随時追加され、今回の新章では、メゾンの歴史を語るうえで重要な場所であり、2000年にメゾン初の店舗として東京・恵比寿にオープンした「メゾン マルジェラ トウキョウ」に焦点を当てる。2006年の移転先である「恵比寿南2-8-13」での20周年を記念し、店舗の歴史や、ブランドと日本の文化、地域とのつながりをひもとく。

メゾンが初の店舗を構えたのは、パリのオフィスや創始者の母国ベルギーではなく、東京の住宅街・恵比寿だった。2000年9月、「恵比寿南3-3-3」の緑豊かな坂道にある伝統的な住宅にオープン。2006年にはそこから徒歩約5分の「2-8-13」へ移転した。新たな店舗に選んだのは、かつて電機制御機器の製造工場として使われていた建物。工場時代の記憶や、最初の店舗にあった浴室を残すなど、既存の要素を生かしながら空間をつくり変えてきた。こうした型にはまらない選択は、メゾンのアイデンティティをかたち作る重要な要素となっている。
今回公開された新章では、創業当初から店舗を支えてきたスタッフの記憶を記録するとともに、日本の文化や装いとのつながりを象徴するアイコン「タビ」にも着目。タビのコレクターや地域の人々へのインタビューを通して、ブランドと恵比寿の街との関係を掘り下げる。

さらに、11月5日には店舗の歴史をまとめたリミテッドエディションのZINEを配布。恵比寿エリアでは同日限定、店内では在庫がなくなり次第配布を終了する。同日、メゾンのウェブサイトでも内容が公開される。
同日には、メゾンのクリエイティブプロジェクト「Line 2」によるインスタレーション「Unravelled Memory, Rewoven Future」も公開される。「Line 2」は、異なる領域や要素を結びつけ、新たな創造や対話を生み出す取り組み。第2章となる今回は、キュレーターの長谷川祐子が東京を拠点に活動するアーティストの鈴木美緒を迎え、フランスの歴史あるタペストリー工房、レ・マニュファクチュール・ド・ナシオナル - セーヴル&モビリエ・ナショナル(Les Manufactures Nationales - Sèvres & Mobilier National)と協業する。メゾンが探求してきた素材の再解釈、工房が受け継ぐ伝統技術、鈴木の視点を組み合わせ、店舗のための特別な作品を制作。インスタレーションは11月5日から11月15日まで、店内で一般公開される。

店舗の歴史を記録するアーカイヴと、異なる創造性が交差するインスタレーション。恵比寿で築かれてきたメゾン マルジェラの軌跡と、そこから生まれる新たな表現に注目したい。「Maison Margiela/folders」の新章は、公式サイトから閲覧できる。