公開日:2023年6月27日

「Material, or 」が21_21 DESIGN SIGHTで7月開催。マテリアルの原初性に立ち戻るデザイン展

21_21 DESIGN SIGHTで7月14日から11月5日まで開催。展覧会ディレクターに吉泉聡、企画協力に石倉敏明、亀井潤

吉泉聡によるコンセプトスケッチ

ものと人の関わりを考える

椅子や家具などの「もの」を成り立たせる木や鉄といった「素材」。しかし、それらの本来的な意味や存在に意識を向ける機会は少ない。そんなデザインの原初性やその感覚に立ち戻ろうとする展覧会「Material, or 」21_21 DESIGN SIGHTで開催される。展覧会ディレクターはデザイナーの吉泉聡、企画協力は芸術人類学者の石倉敏明、バイオミメティクスデザイナーの亀井潤会期は7月14日から11月5日まで。

展覧会企画チームが写真家ゴッティンガムとともに海岸で撮影した本展のイメージヴィジュアル Photo “Untitled (Your Materials #63–126)” , 2023 © Gottingham Image courtesy of Nippon Design Center and Studio Xxingham

本展では、特定の意味を持たない「マテリアル」が、「もの」がつくられる過程で「素材」として意味づけされるプロセスに注目。この考えに則って、本来「素材」と「マテリアル」は同義だが、ここでは別の概念として扱われるという。

展覧会では、大きく3つの視点から人と「マテリアル」のつながりを読み解いていく。まずは「マテリアル」が「素材」として意味づけされる視点について。人は思考によってマテリアルに意味を与えるいっぽう、マテリアルに触れているうちに意味を見出してきた。有史以来、人が続けてきたその行為を、デザインやアート、暮らしのなかで生まれた手仕事などから紹介していく。

吉泉聡によるコンセプトスケッチ

続いて、マテリアルを通した世界の絡まり合いを感じ、再発見することを目指す。人間だけではなく、動植物もまたマテリアルを素材としている。ここでは、人と動植物、動植物と人工物、これらの関係性から生まれた成果物などを中心にマテリアルとの「つながり」を再認識することを促し、世界と「つながる」きっかけを提示する。

吉泉聡によるコンセプトスケッチ

最後に、人間がマテリアルとの関係を更新する事例に迫る。マテリアルと私たち人や動植物は「共異体」として、世界と絡まり合っているという。その把握の上で多様なマテリアルと自身の手で向き合うと、ものをつくる視点や態度は大きく変わるかもしれない。ここでは新しい視点や技術をもって、マテリアルとの関係を更新した素材やその取り組みを紹介していく。

吉泉聡によるコンセプトスケッチ

以上の3つのテーマのなかでは、デザイナーによるプロダクトやリサーチを主眼とする成果物、アーティストによるマテリアルとの対話から生まれた多様な表現、祭具・民芸品、そして人の視点を超えた動植物や有機物によるマテリアルへのアプローチなどを紹介。

青田真也ACTANT FORESTイ・カンホ上田勇児遠藤薫太田翔小野栞金崎将司 亀井潤(Amphico)ゾフィア・コラーTAKT PROJECTDRIFT永沢碧衣似里力畑中正人ピート・オックスフォードFormafantasmaBRANCH本多沙映三澤遥+三澤デザイン研究室𠮷田勝信らが出品。また、Cruz Foam村山耕二+UNOU JUKU by AGC株式会社などの企業も参加する。こういった多種多様な事例から、マテリアルへの意識が更新されていくだろう。

ACTANT FOREST Comoris BLOCK
𠮷田勝信 もし、石炭が燃えなかったとしたら(仮題)
DRIFT MATERIALISM, LIGHT BULB 撮影:Ronald Smits
イ・カンホ Blue Sofa Image courtesy of Salon 94 Design (New York)

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