公開日:2026年9月11日

蜷川実花が原点の地で向き合った、家族の記憶。「蜷川実花展 はじまりの光」(川口市立美術館)開幕レポート

父・蜷川幸雄の書斎の移設展示も。川口市立美術館の開館記念特別展

「蜷川実花展 はじまりの光」会場風景

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現実と虚構が入り混じる創作の原風景

埼玉県・川口市で、新たな美術館「川口市立美術館」が9月12日にグランドオープン。開館記念特別展となる「川口市立美術館 開館記念特別展『蜷川実花展 はじまりの光』」が同日に開幕する。会期は11月29日まで。

川口市立美術館は、JR川口駅から徒歩2分の場所に位置する2階、M2階、1階からなる建物。入り口のある2階にふたつの展示室、M2に展示ホールが設けられているほか、レストランやミュージアムショップも併設している。約220点のコレクションは地域の美術愛好家や川口市ゆかりの作家からの寄贈により成り立っており、市ゆかりの作家の作品のほか、鏑木清方や横山大観をはじめとする近代日本美術の巨匠の作品も所蔵する。

川口市立美術館外観

9月9日に行われた記者発表会で、建畠晢館長は「駅前という素晴らしい場所にあるので、展覧会を見に来ていただくだけでなく、市民のコミュニケーションの場、人々のコミュニティを結びつけることに寄与する場でもあれたら」と語った。

記者発表会より、左から、建畠晢、蜷川実花、岡村ゆり子(川口市長) 撮影:植村マサ

こけら落としとなる展覧会に起用された蜷川実花は、父・蜷川幸雄が川口市出身であり、自身も幼少期を過ごすなど、川口と縁の深いアーティストだ。創作の原風景とも言えるこの地での個展にあたって、これまであまり触れてこなかった家族の記憶というプライベートなテーマと正面から向き合い、新境地となる展示を制作した。

蜷川は5歳頃まで、川口にあった父の実家にしばしば預けられ、そこで目にしたエネルギッシュで猥雑な街の風景が「とても魅惑的に見えた」という。とくにおかめ市(酉の市)の雑踏のなかで経験した、現実と虚構が曖昧になるような強烈な体験は作家の創作に大きな影響を与えており、「ヴィジュアル的な影響や、ものを作るときに根底に流れている重要な部分が、じつはこの街で育っていたと今回のお話をいただいてあらためて思った」と振り返った。

記者発表会より、蜷川実花 撮影:植村マサ
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