公開日:2023年9月30日

大阪中之島美術館、2024年度の展覧会スケジュールが決定!

塩田千春、歌川国芳からモダンアートコレクションまで。関西ゆかりの若手作家の紹介も

塩田千春 The Eye of the Storm 2022 画像提供:バンコクアートビエンナーレ ©︎ JASPAR, Tokyo, 2023 and Chiharu Shiota

19世紀後半から21世紀の現代までの近代、現代美術・デザイン作品を約6000点収蔵する大阪中之島美術館。2022年に開館し、地元大阪で繰り広げられた豊かな芸術活動にも目を向けているところも特徴だ。そんな同館の2024年に開催する展覧会スケジュールが公開された。5階と4階に分けて開催される、8つの展示ラインナップを紹介したい。

◎モネ 連作の情景 
会期:2024年2月10日〜5月6日
会場:5階展示室 

クロード・モネ ウォータールー橋、ロンドン、日没 1904 ワシントン・ナショナル・ギャラリー © National Gallery of Art, Washington. Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon, 1983.1.28

印象派の巨匠、クロード・モネ(1840〜1926)の「連作」をピックアップした展覧会。自然との対話を求め、季節や天候、時刻などによって自在に変化する風景の「瞬間性」をとらえようと探求を続けたモネ。1891年に発表した〈積みわら〉やジヴェルニーの庭園で描いた〈睡蓮〉のシリーズは後世の芸術家に大きな影響を与えた。本展は1874年にパリで第1回印象派展が開催されてから、150年を迎える節目の展覧会となる。

クロード・モネ ウォータールー橋、ロンドン、夕暮れ 1904 ワシントン・ナショナル・ギャラリー © National Gallery of Art, Washington. Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon, 1983.1.27


◎没後50年 福田平八郎 
会期:2024年3月9日〜5月6日
会場:4階展示室 

福田平八郎  漣(重要文化財)  1932 大阪中之島美術館蔵

本展では日本美術の伝統を継承しながら、西洋絵画からの刺激を受けつつ近代的な新しい日本画の世界を切り拓いた福田平八郎(1892〜1974)の画業を紹介する。平田平八郎は、障壁画や琳派の画風を研究し、写生を基本としながら形態の単純化をおしすすめ、時代の寵児となった。豊かな色彩と奇抜な画面構成による独特の装飾表現を志向し、1932年に《漣》 (重要文化財)を発表。戦後は斬新な視点で雨の情景を描いた《雨》をはじめ、《新雪》《水》など情緒豊かな作品を手がけ、いまなお人々を魅了し続けている。

福田平八郎  竹 1942 京都国立近代美術館蔵

◎没後30年 木下佳通代 
会期:2024年5月25日〜8月18日
会場:5階展示室 

木下佳通代 む36  1976 大阪中之島美術館蔵

神戸を拠点に活躍した木下佳通代(1939〜1994)は、関西の戦後美術を代表する美術家のひとり。60年代半ばより、神戸で結成された前衛美術集団「グループ〈位〉」と行動をともにしながら、存在、認識、空間などをテーマとして作品を制作し、80年代より身体性を象徴するような筆致の抽象絵画を描き、1994年に亡くなるまで様々な作風の作品を通して「存在とは何か」という問いに向き合い続けた。本展では、初の美術館での個展として作家の全貌を紹介する。

木下佳通代 93-CA792 1993 大阪中之島美術館蔵

◎醍醐寺展 
会期:2024年6月15日〜8月25日
会場:4階展示室 

国宝 文殊渡海図  1幅 鎌倉時代(13世紀) 画像提供:奈良国立博物館

醍醐寺は、真言密教のうち加持祈禱や修法などの実践を重視する寺として発展してきた。国宝《文殊渡海図》、重要文化財の《不動明王坐像 快慶作》をはじめとして、長い歴史において、醍醐寺には天皇や公家、武家との深い関わりから貴重な文化財が多数伝わっている。醍醐寺の歴史と美術を「山の寺」 「密教修法のセンター」「桃山文化の担い手」という3つのテーマで構成する。大阪では初開催。

重要文化財 如意輪観音坐像 1躯 平安時代(10世紀) 画像提供:奈良国立博物館

◎塩田千春 つながる私 
会期:2024年9月14日〜12月1日
会場:5階展示室 

塩田千春 巡る記憶 2022 写真:サニー・マン © JASPAR, Tokyo, 2023 and Chiharu Shiota

大阪では16年ぶりの開催となる塩田千春の出身地大阪で大規模な個展。「生と死」という人間の根源的な問題に向き合い、作品を通じて「生きることとは何か」「存在とは何か」を問い続けている塩田。全世界的な感染症の蔓延を経験した私たちが、否応なしに意識した他者との「つながり」に、3つの【アイ】-「私/I」「目/eye」「愛/ai」を通じてアプローチする。

塩田千春 家から家 2022 写真:サニー・マン ©JASPAR, Tokyo, 2023 and Chiharu Shiota

◎TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション
会期:2024年9月14日〜12月8日
会場:4階展示室 

アンリ・マティス トルコの椅子にもたれるオダリスク  1928 パリ市立近代美術館蔵 photo:Paris Musées / Musée d’Art moderne de Paris

パリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館のコレクションが集結。20世紀初頭から現代までのモダンアートを中心とする各館コレクションより、それぞれ1点の作品を選出して、3点1組の「トリオ」を作って提示する新たな試み。34のテーマについて約150点を紹介する。ピカソ、マティス、佐伯祐三、草間彌生、バスキアなどの人気作家の作品はもとより、時代や国や美術史的枠組みをも超えた、作品同士が生み出す意外な親和性、新たな化学反応を楽しみたい。

アメデオ・モディリアーニ 髪をほどいた横たわる裸婦 1917 大阪中之島美術館

◎Space In-Between:吉川静子とヨゼフ・ミューラー=ブロックマン 
会期:2024年12月21日〜2025年3月2日
会場:5階展示室 

吉川静子 COLOR SHADOW NO. 86 1979–1980 Copyright and courtesy of the Shizuko Yoshikawa and Josef Müller-Brockmann Foundation

日本初となる、日本人アーティストの吉川静子(1934〜2019)とスイス人グラフィックデザイナーのヨゼフ・ミューラー=ブロックマン(1914〜1996)の大規模回顧展。1960年代、70年代に抽象絵画と彫刻により女性芸術家として注目された吉川と、洗練されたタイポグラフィーと「グリッドシステム」によるグラフィックデザインで、1950年代以降スイスを代表するデザイナーとなったミューラー=ブロックマン。夫婦として創造的な生涯を過ごした2人の活動の軌跡を振り返る。

ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン 5月の祝祭週間コンサート・チューリッヒ 1951 大阪中之島美術館蔵 ©Museum für Gestaltung Zurich, Switzerland

◎歌川国芳展
会期:2024年12月21日〜2025年2月24日
会場:4階展示室 

歌川国芳 鏡面シリーズ 猫と遊ぶ娘 弘化2年(1845)頃

江戸末期の浮世絵師、歌川国芳(1797〜1861)の作品約300点を展示する。武者絵や戯画を筆頭に、遠近法や陰影といった、洋風表現を取り入れた風景画、美人絵、子どもの絵など、幅広い画題を手がけた国芳の浮世絵版画は、国内外で高い人気を誇る。本展では浮世絵版画に貴重な肉筆画も交えて、奇抜なアイデアや斬新なデザインなど国芳の魅力を余さず伝える。会期中、展示替えあり。

歌川国芳 「美盾八競 晴嵐」宮本無三四 弘化2-3年(1845-46)頃

◎入場無料。関西ゆかりの、新進気鋭のアーティスト3名の紹介も
「Osaka Directory supported by RICHARD MILLE」

肥後亮祐 Null Island 「Kyoto Art for Tomorrow 2021 -京都府新鋭選抜展-」展示風景 (2021年 京都文化博物館)

2階多目的スペースでは、関西ゆかりの若手作家を中心に個展形式で紹介する展覧会「Osaka Directory supported by RICHARD MILLE」が行われる。大阪中之島美術館が関西・大阪21世紀協会と共同で主催。これからの時代を象徴する、新たな表現を生み出す作家を毎年紹介していく試みだ。
小谷くるみ(1994年大阪府生まれ)は、2023年11月18日〜12月17日、肥後亮祐(1995年北海道生まれ ・京都在住)は、12月23日〜2024年1月21日、木原結花(1995年大阪府生まれ)は、2024年1月27日〜2月25日で展示が予定されている。

小谷くるみ 21g 2020
木原結花 行旅死亡人 2016

大阪中之島美術館
詳細:https://nakka-art.jp/
*記載事項は変更の可能性があります。最新情報はウェブサイトをご確認ください。

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