練馬区立美術館と隣接する貫井図書館の改築設計者が平田晃久に決定した。今後、設計者の提案内容をもとに基本設計を進め、令和9年度(2027年度)のリニューアルオープンを目指す。
西武池袋線中村橋駅から徒歩3分の場所に合築施設として1985年に開館し、子どもから高齢者まで多くの方々に文化芸術・生涯学習の拠点として親しまれてきた練馬区立美術館。建物や設備の老朽化が進み、7500点を超える収蔵作品の展示や収蔵環境、バリアフリーなど多くの課題を抱えていた同館だが、このたび隣接する東京中高年齢労働者福祉センター(サンライフ練馬)の敷地と合わせて美術館・貫井図書館を改築し、隣接する美術の森緑地も改修することとなった。
全25者の参加者から選ばれた平田晃久建築設計事務所のプロポーザルは、アートと本、人々、貫井の街をつなぐ新しい公共建築として「21世紀の富士塚/アートの雲/本の山」をコンセプトにした、Shelter、Shelf、Shadeの三層構造を用いて、静と動を棲み分けた多様なバリエーションの空間をもつ多層的な建築空間。建物は地下バックヤードを除く4つのフロアで構成され、美術館と図書館が一体化したものになるという。
建物の中心にShelterと呼ばれる収蔵庫や展示室の機能をもった空間を置き、その周囲を包むShelfとのあいだには、落ち着いて読書ができる空間や創作活動を行うスペースなどが入る。さらに、それらを階段状の屋根のようなものが幾重にも重なるShadeが覆うことで、エントランスホールやカフェレストランなど街や緑地に開かれた自由な活動をできる場所を作りだすという。
プロポーザルの審査は、秋元雄史美術館長を委員長に、建築史家の三宅理一、建築家の西沢立衛、乾久美子、図書館学の専門家の野口武悟など9名の選定委員が担当。
また同時に、秋元の後任として、2023年4月より練馬区立美術館の館長に伊東正伸が就任することも発表されている。伊東は毎日新聞社を経て、1991年より国際交流基金に勤務。フランス国内で開催された日本文化紹介事業「ジャポニスム2018」では、担当部長として若冲、琳派、工芸、建築、現代アートなど全14件の美術展を企画した経験を持つ。