最終更新:2022年9月27日

「岡山芸術交流2022」への市民からの陳情・要望について、実行委員会への質問と回答

「岡山芸術交流2022」の総合プロデューサー人事や会場使用をめぐり、市民団体から陳情書や要望書が提出されていることについて、岡山芸術交流実行委員会事務局へ質問を行い、回答を得た。

岡山芸術交流実行委員会への質問と回答

9月30日に開幕する「岡山芸術交流2022」。本展について地元の市民団体である「岡山芸術交流を考える市民県民の会」から、その会場使用や石川康晴(公益財団法人石川文化振興財団理事長)の総合プロデューサー就任をめぐり、あり方の見直しを求める陳情書や要望書が提出されてきた。(これまでの流れはこちら

上記の市民団体の動きを受け、「Tokyo Art Beat」は9月21日、岡山芸術交流実行委員会事務局宛に、以下の4点について質問を送付。9月26日に回答を得た。内容は以下のとおり。


(質問 1)
「岡山芸術交流を考える市民県民の会」(代表:川﨑正博)によりますと、令和4年2月22日に岡山県議会議長神宝謙一氏宛に陳情書「『岡山芸術交流2022』の総合プロデューサーに専門家の就任と、基本コンセプトの見直しを求める陳情」が、また、同月25日に同内容の陳情書が岡山市議会議長和氣健氏宛に提出されましたが、その後県議会2月定例会及び、市議会2月定例会でそれぞれ不採択となりました。また令和4年7月8日には、岡山市長 大森雅夫氏宛に「『岡山芸術交流』総合プロデューサーに専門家の就任と基本コンセプトの変更についての要望書」を提出し、同月15日に岡山市市民生活局スポーツ文化部文化振興課 課長 岡村誠氏より回答を得ています。
上記の回答において、「天神山文化プラザ」の占有使用をはじめとする岡山芸術交流の運営方法について、今後岡山市民の理解を得たり、意見を運営体制に活かすために、市民向けの説明会や話し合い、ヒアリングなどを行う予定はありますか。

(回答 1)
岡山芸術交流については、今後の開催内容は未定のため、現時点で市民向けの説明会等を実施する予定はございません。

(質問 2)
上記要望書には、総合プロデューサー石川康晴氏に関して、「一昨年、自社におけるセクシャルハラスメント疑惑の問題が全国で大きく報道されており、実行委員会から報道された内容にかかる説明が無いまま第3回も引き続いて総合プロデューサーに就任させたことも納得できません。主催する岡山市や岡山県はこの問題を容認していると受け取られイメージダウンとなり、市民・県民は恥ずかしい思いをします。」とあります。貴実行委員会としては、石川氏に関するセクシュアル・ハラスメント疑惑報道についてどのような見解をお持ちでしょうか。また要望書での同報道に関する指摘に対しては回答がなされていませんが、市民に対しては今後説明を行い理解を得る予定はありますでしょうか?

(質問 3)
石川氏に関するセクシュアル・ハラスメント疑惑報道を含め、地元の市民団体から陳情や要望書が提出されていることについて、海外拠点の方々を含め、参加アーティストに情報を共有していますでしょうか。

(回答 2、3)
ストライプ社で開催された臨時査問委員会において、石川氏によるセクハラの事実は認められず、同様の趣旨の発表が同社からなされているところです。
当実行委員会としてはこれ以上の内容は把握しておらず、このことに対しての見解はありません。また市民に対しての説明や参加アーティストへの情報共有も必要ないと考えています。

(質問 4)3での質問について、情報を共有されている場合、アーティスティックディレクターの リクリット・ティラヴァーニャ氏は、石川氏に関する一連の報道や、総合プロデューサーの就任や基本コンセプトへの見直しが市民から求められていることに関して、どのような見解をお持ちでしょうか。

(回答 4)
該当なし。


回答によると、今後も新たな説明の機会は予定されていないようだが、本展は運営組織の構成団体に岡山市、岡山県等を含む公的かつ大規模な国際芸術祭である。現代アートの世界的な潮流と、岡山というローカルな場所性が重なり合い、新たな体験や発見を鑑賞者に提供することが期待されるなかで、どのように市民の理解を得、関係を築いていくのか。今後の展開を注視したい。

「岡山芸術交流2022」は9月30日から11月27日まで。岡山市で3年ごとに開催され、3回目となる今回は、岡山城、岡山後楽園周辺エリアの様々な歴史文化施設を会場に、アーティスティックディレクターとしてアーティストのリクリット・ティラヴァーニャをむかえる。参加作家は、13か国から28組。アーティストの選考は、 総合ディレクターの那須太郎(TARO NASU 代表/ギャラリスト)と、アーティスティックディレクターによって行われた。

タイトルは「僕らは同じ空のもと夢をみているのだろうか(Do we dream under the same sky )」。リクリット・ティラヴァーニャは公式サイトにて、「この数年間、世界的パンデミックに加え、アメリカ国内の白人至上主義や世界各地のナショナリスト的ポピュリストの趨勢が強まってきたという背景を踏まえて、私はこの展覧会を私たちの意識や視点を変革するものにしたいと考えています。」と本展の意図を記している。

*追記:9月29日に行われた記者説明会では総合ディレクターの那須太郎、アーティスティックディレクターのリクリット・ティラヴァーニャの両氏に対し、市民団体の要望に関する質問を行い、回答を得た。詳細は以下の記事を参照。
「岡山芸術交流 2022」レポート。その"交流"が排除するのは誰か。

福島夏子(編集部)

福島夏子(編集部)

「Tokyo Art Beat」編集。音楽誌や『美術手帖』編集部を経て 、2021年10月より現職。