伊藤若冲、曽我蕭白と共に「奇想の画家」のひとりとして近年国内外から注目を集める長沢芦雪に焦点をあて、 その画業を紹介する回顧展「特別展 生誕270年 長沢芦雪 ―奇想の旅、天才絵師の全貌―」が大阪中之島美術館で開催される。会期は10月7日から12月3日。
江戸時代中期に京都で活躍した芦雪。卓越した描写力に加えて、奇抜な着想と大胆な構図、また人を驚かせ楽しませようというサービス精神や面白みで、独自の世界を展開し人気を博した。型破りな印象で語られることが多い芦雪だが、小動物など小さきものを描いた数々の作品からは、それらへの慈愛に満ちた眼差しを感じることができる。
ころころと転がるような子犬をはじめとしたユーモラスでかわいらしい動物描写は芦雪のトレードマークと言えるが、本展では幽霊を描いた作品や、いかにも人間らしい僧侶2人をワイルドに描いた作品など、「かわいい」とは別の芦雪の姿を示す。また、画家が得意とした障壁画(襖絵)も大量に紹介。西光寺(島根)、無量寺(和歌山)、高山寺(和歌山)、薬師寺(奈良)、大乗寺(兵庫)の襖絵が揃って出品されるのはなんと23年ぶりとなる。
とにかく絵を描くことが好きで、常に新しい表現や技法を追求した芦雪。亡くなって200年以上経った今も、観る人を魅了してやまないその世界を、代表作・初公開作品を含む優品で巡る、豊かな展覧会となるだろう。