公開日:2026年6月16日

「風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼」(弘前れんが倉庫美術館)レポート。「21世紀のロマン主義」を追求した初公開の油彩画や代表的な大型木版画が一堂に

黒い木版画を主な表現手法とする現代美術家・風間サチコの大規模個展が青森県弘前市で開催中。会期は6月5日~11月15日。会場の様子をお届けする

「風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼」会場風景 ©︎ Sachiko Kazama Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production  Photo by Ryo Narita

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過去最大規模の個展が開幕

青森県の弘前れんが倉庫美術館で、現代美術家の風間サチコの東北初個展「風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼」が開催されている。初めて公開する油彩画や近年の大型木版画、初期作など約60点を展示し、会期は11月15日まで。担当は同館館長の木村絵理子と学芸員の宮本ふみ。

風間は1972年東京都生まれ。96年武蔵野美術学園版画研究科修了。ひとつの画面に様々なモチーフを盛り込んで構成し、黒一色で刷った木版画を中心に制作を行い、数多くのグループ展や国際展に参加。主な個展に、「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展:⾵間サチコ 'Magic Mountain'」東京都現代美術館、2021)、「⾵間サチコ展 ―コンクリート組曲―」(⿊部市美術館、2019)など。日本社会への違和感や現代の出来事、近代史の暗黒面を批評的かつコミカルに表現し、ニューヨーク近代美術館や香港のM+が作品を収蔵するなど国際的評価も高まる作家だ。

「風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼」会場風景 ©︎ Sachiko Kazama Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production  Photo by Ryo Narita

展覧会タイトルは、平安時代末期~鎌倉時代初期の随筆家・鴨長明が記した『方丈記』にちなんだもの。長明は方丈(四畳半ほどの部屋)に住み、隠棲生活を送りながら争乱や天災に苦しむ人々や、有為転変する世の中の様子を綴った。その姿に、風間の制作姿勢を重ねたと木村は話す。

「風間は、東京の4畳半の居室と6畳のアトリエがある日本家屋で暮らしている。4畳半で一番長い時間を過ごし、そこから様々なイマジネーションを広げ、外の世界も観察して現在・過去・未来へと思考を巡らながら作品を制作している。そうして世界を見通すアーティストの眼差しという意味を『1000里眼』の言葉に込めた」(木村)

会場風景 撮影:永田晶子

東京在住の風間と青森の地とのかかわりは、青森公立大学 国際芸術センター青森 [ACAC]のレジデンスで滞在制作を行った2015年に遡る。このときに弘前市を訪れ、市内の古書店で出合った1冊の本がきっかけとなって、美術学校以来となる油彩画に今回挑戦した。本展は、風間作品を所蔵する横浜美術館での勤務経験がある木村が企画し、風間の祖父が青森出身の世界的版画家・棟方志功(1903~75)とゆかりがあった縁も後押しとなり、弘前で過去最大規模の個展が実現した。

エントランスでポーズを取る現代美術家の風間サチコ 撮影:永田晶子
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