公開日:2023年4月18日

「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が6月から東京国立近代美術館で開催。“未完の聖堂”に見るガウディ建築の真髄とは

スペイン・バルセロナを中心に活動した建築家アントニ・ガウディと、その代表作「サグラダ・ファミリア」に焦点を当てた展覧会が6月13日から東京国立近代美術館で開催。さらに滋賀・佐川美術館、愛知・名古屋市美術館にも巡回する。

サグラダ・ファミリア聖堂(降誕の正面側)、2019年11月撮影 © Fundació Junta Constructora del Temple Expiatori de la Sagrada Família

東京・滋賀・愛知で開催

スペイン、カタルーニャ地方に生まれ、バルセロナを中心に活動した建築家アントニ・ガウディ(1852〜1926)。代表作であり“未完の聖堂”と呼ばれるバルセロナのサグラダ・ファミリアに焦点を絞り、その建築に迫る展覧会「ガウディとサグラダ・ファミリア展」東京国立近代美術館で開催される。会期は6月13日~9月10日。

巡回展は、滋賀会場は9月30日〜12月3日に佐川美術館、愛知会場は12月19日〜2024年3月10日に名古屋市美術館で開催予定だ。

バルセロナ市内にはサグラダ・ファミリアをはじめ、カサ・ビセンス、グエル公園、カサ・バッリョ、カサ・ミラ、など世界遺産に登録されたガウディによる建築群がある。西欧のゴシック建築やスペインならではのイスラム建築、カタルーニャ地方の歴史や風土など様々な源泉を持つそれらの意匠は、唯一無二と言っていい独創性に溢れている。

サグラダ・ファミリアの建設プロセスが明らかに

サグラダ・ファミリアに焦点を絞り、ガウディの建築思想と造形原理を読み解いていく本展は、その建設のプロセスを明らかにする。

ガウディは聖堂の設計にあたり、膨大な数の模型を作ることで構想を練り上げていったという。模型の修正を繰り返すことで聖堂のかたちと構造を探った、ガウディ独自の制作方法に注目したい。

また、140年を超える長大な建設の過程には、ガウディだけでなく数多くの人々が関わってきたことも忘れてはならないだろう。本展ではこの聖堂建設プロジェクトの発端から変遷、さらにガウディ没後にプロジェクトを引き継いだ人々の創意工夫にも光を当てる。

サグラダ・ファミリア聖堂(降誕の正面側)、2023年1月撮影 © Fundació Junta Constructora del Temple Expiatori de la Sagrada Família

総合芸術への志向

ガウディはサグラダ・ファミリアにおいて、聖書の内容を表現する「降誕の正面」を飾る彫像も自ら手掛けた。さらに外観・内観の光と色の効果や、建物の音響効果にも工夫を凝らし、諸芸術を総合する場として聖堂を構想した。本展ではこうした総合芸術志向にも着目する。

100 点を超える図面や模型、写真、資料、最新の映像が並ぶという本展。ガウディ建築の複雑かつ豊かな世界に触れることができる、絶好の機会だ。

サグラダ・ファミリア聖堂の内観 © Fundació Junta Constructora del Temple Expiatori de la Sagrada Família

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