公開日:2024年2月8日

染色家の柚木沙弥郎さんが101歳で死去。「民藝」との出会いをきっかけに、染色や版画、立体作品なども手がける

柳宗悦の「民藝」と芹沢銈介のカレンダーとの出会いから染色の道に進み、100歳を超えても制作を続けていた

柚木沙弥郎 出典:公式ウェブサイト(https://www.samiro.net/index1.html)

染色家の柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう)さんが1月31日、うっ血性心不全のため亡くなった。享年101。

1922年、東京都の田端にて洋画家の柚木久太と寿の次男として生まれる。42年に美術史を学ぶため東京帝国大学(現・東京大学)に入学し、43年に学徒動員。終戦後、父の生家である岡山県倉敷市玉島に復員。46年に倉敷市の大原美術館に勤務。そこで芹沢銈介による和紙に大胆な模様を型染めした暦(カレンダー)に出会い、民藝に魅せられ、柳宗悦の著書を通して工芸への関心を深めていった。

「生誕100年 柚木沙弥郎展」(日本民藝館 2023)展示風景 画像提供:日本民藝館

47年、大学での研究と仕事を捨て、芹沢のもとに弟子入り。修行の一環として静岡県由比町の正雪紺屋に住み込み、型から染めまでの染色の技法を学んだ。48年には初作品「紅型風型染布」を制作。柳宗悦に呈示し、日本民藝館の所蔵となる。72年には専任講師を経て女子美術大学教授に就任、91年に退職するまでに学長も務めた。2021年毎日デザイン賞を受賞。

柚木沙弥郎 & Alexander Kori Girard 二人展「East Meets West」(エースホテル京都、2022)会場風景より、柚木の作品

日本民藝館をはじめ渋谷区立松濤美術館、岡山県立美術館、神奈川県立近代美術館 鎌倉別館・葉山、世田谷美術館、国立ギメ東洋美術館(パリ)、PLAY! MUSEUMなど国内外の美術館で個展を開催し、その作品は幅広い年齢層の人々に親しまれた。

100歳を超えても染色を続け、2020年、ニューヨークに本社を置くホテルチェーンのアジア初進出となった「エースホテル京都」ではホテルのロゴ、客室内の作品を手がけたことでも話題となった。

エースホテル京都内、柚木沙弥郎が手がけた「Stumptown Coffee Roasters」の暖簾

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