公開日:2025年5月9日

ジャン=リュック・ゴダールの映像表現の革新性を体感する展覧会が、東京・新宿歌舞伎町の王城ビルで今夏開催

ゴダール最後の長編『イメージの本』を映像インスタレーションとして再構成。ドイツやスイスなどで行われてきた展覧会が日本初開催

キーヴィジュアルデザイン:北山雅和

展覧会「ジャン=リュック・ゴダール《感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について》」が、東京・新宿歌舞伎町の王城ビルで開催される。会期は7月4日~8月31日。

本展は、2022年に死去した映画監督ジャン=リュック・ゴダールの最後の長編作品であり、カンヌ国際映画祭で「スペシャル・パルムドール」を受賞した『イメージの本』(2018年公開)を映像インスタレーションとして再構成するもの。2010年の映画『ゴダール・ソシアリスム』から撮影・音響・編集を手がけ、晩年のゴダールの右腕であったスイスの映画作家ファブリス・アラーニョがアーティスト/キュレーターとして参加し、ゴダールとのコラボレーションを経て企画設計した展覧会だ。これまでドイツやスイスなどで行われており、日本では初開催となる。

ファブリス・アラーニョ

『イメージの本』は、様々な映画や絵画、文学の引用をコラージュしながら、歴史や戦争、宗教、芸術などのテーマを紡いだ5章からなる作品。展覧会では、映画の各章がさらに断片化され、引用される映像の順序もつねに変化する。会場内に設置された多数のスクリーンにそれらが投影・展示される手法により、視覚的・空間的にゴダールの世界を体感できる内容になるという。

ドイツ・ベルリンで開催された際の展示風景(2022)

同作のプロデューサーでもあるアラーニョは、本展のコンセプトを「『イメージの本』の編集室を拡大し、映画のなかの世界のように拡張させたもの。観客は自分で映画のプロセスを選択し、観客自身が時間のカーソルとなって、まるで森のような映画空間を散策できる」と語っている。

ドイツ・ベルリンで開催された際の展示風景(2022)

本展では同展の開催に向けて支援者を募るクラウドファンディングをGREEN FUNDINGにて5月31日まで実施中。支援金額に応じたリターンには、世界で1500部限定のゴダールの脚本ノートレプリカや、アラーニョが撮影したゴダールのポートレイトのオリジナルプリント、展覧会オリジナルTシャツ、トートバッグなどが用意されている。GREEN FUNDINGのページでは、海外で開催された際に同展を鑑賞したという映画研究者の堀潤之、映画監督の濱口竜介杉田協士、音楽家の渋谷慶一郎のコメントも掲載されている。

なお、ゴダールが自ら選んだ死の前日、2022年9月に完成したという作品『シナリオ』が、今年8月に公開予定。コラージュによる18分の本編と、ゴダール自身が制作ヴィジョンを語るドキュメンタリーの2部構成の作品となる。

「ジャン=リュック・ゴダール《感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について》」

会期:7月4日~8月31日
会場:王城ビル(新宿区歌舞伎町1-13-2)
主催|《感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について》展 実行委員会
料金:一般2,200円(税込)
企画:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社、パラダイス商事株式会社​
後援:在日スイス大使館、在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ、新宿区
アーティスト / キュレーター:ファブリス・アラーニョ
アシスタント&コキュレーター:槻舘南菜子
キーヴィジュアルデザイン:北山雅和

公式サイト:https://godardtokyo.com

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