会場風景より、歌川国芳 通俗水滸伝豪傑百八之一個(壱人)1800頃
東京ステーションギャラリーにて、中国四大奇書のひとつに数えられる『水滸伝』に焦点を当てた展覧会「水滸伝」が開幕した。会期は9月19日から11月8日まで。
『水滸伝』は、中国・明代に生まれた長編小説。同時期の『三国志演義』『西遊記』『金瓶梅』と並ぶ「四大奇書」の筆頭として中国で広く親しまれ、日本でも長く愛読されてきた。宋江(そうこう)を首領とする108人の豪傑が、梁山泊(りょうざんぱく)という巨大な沼沢地に集結し、権力に反抗する物語である。そこには、定住民社会からはじき出された人々が結ぶ共同体のあり方や、腐敗した権力への反抗といったテーマを読み取ることができる。
本展は、『水滸伝』に着想を得た作品とともに、物語が生まれた時代背景や世界観を、美術と資料を通して紹介する。北宋から清に至る中国美術に加え、歌川国芳の錦絵をはじめとする江戸から現代までの日本美術を通して、時代を越えて広がった108人の豪傑たちのイメージに迫る。
今回の展示は、大阪市立美術館の90周年記念展として始まり、東京ステーションギャラリーへと巡回した。本展の企画構成を担った大阪市立美術館の八田真理子は、プレス内覧会で、本展企画の経緯をこう語った。「北宋を中心とした中国美術を、ぜひ皆さんに見ていただく機会にしたかった。とくに絵画や陶磁器は、日本で見る機会が少ないものです」
会場は全5章で構成される。第1章は歌川国芳が描いた豪傑たちの浮世絵、第2章と第3章では中国美術に焦点を当て、第4章と第5章ではふたたび日本で展開していった『水滸伝』にまつわる芸術をたどる。ここからは、各章の見どころを紹介する。