公開日:2026年8月25日

東京を舞台した写真の祭典「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」のラインナップが公開。2026年ハッセルブラッド国際写真賞受賞者・ザネレ・ムホリなど全12展示

八重洲、日本橋、京橋、銀座エリアが舞台。会期は10月3日〜26日

ザネレ・ムホリ Bester VIII, Philadelphia 2018 Courtesy Zanele Muholi; Southern Guild, Cape Town/New York; and Yancey Richardson, New York. © Zanele Muholi

写真をメディアとするアートフェスティバル「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」が、東京・八重洲、日本橋、京橋、銀座エリアの屋内外で開催される。会期は10月3日から26日までの24日間。入場無料。

今年のテーマは「と(&)」。日本語でもっとも小さな接続詞「と」をテーマに、世界中の写真家とともに、人と人、世界と世界をつなぐ新たな可能性を写真を通して探る。このたび、アソシエイト展やスチューデントプログラムを含む全12展示のラインナップが発表された。2026年ハッセルブラッド国際写真賞を受賞したザネレ・ムホリによる展示をはじめ、各展示を紹介する。

メイン企画のひとつは、2026年ハッセルブラッド国際写真賞受賞者であり、現代写真を代表するアーティストのひとり、ザネレ・ムホリによる展覧会「ものが王冠になるとき、」。会場はTOFROM YAESU TOWER。ムホリは南アフリカを拠点に、写真を通して人種、ジェンダー、セクシュアリティ、そしてアイデンティティをめぐる問いを投げかけ続けている。本展では、代表作《Somnyama Ngonyama, Hail the Dark Lioness(漆黒のライオネスよ、讃えよ)》を中心に紹介する。家事労働やケアを象徴する身近なものを王冠や装身具に見立てたセルフポートレートは、歴史のなかで不可視化されてきた労働や記憶に新たな意味を与え、尊厳と誇りを表す。

ルーカス・フォグリアによるシリーズ「Constant Bloom」もメイン企画として東京建物日本橋ビルと三栄ビルにて展示される。フォグリアは、「人間と自然の関係」をテーマに制作を続けるアメリカの写真家。本シリーズでは、世界最長の渡りをする蝶の軌跡をたどりながら、同じように国境を越えて移動する人々の姿を重ね合わせる。

ルーカス・フォグリア 「Constant Bloom」より

企画展は7つ展開される。写真やコラージュ、セルフポートレートを通して詩的なイメージを生み出す写真家、サラ・ファン・ライによる「L'épaisseur du temps(時の奥行)」。オブジェクトや身振り、東京の街並みを作品に織り込み、異なる場所と記憶を静かに重ね合わせる。会場は東京建物日本橋ビルと三栄ビル。

©Sarah van Rij

フランスのインデペンデントキュレーター、マーク・フューステルのキュレーションによる企画展では、植田正治「Shoji Ueda's Inner Child」と牟禮朱美「さなぎの中は誰も知らない」を紹介する。会場は東京建物八重洲ビル。植田正治の代表作《童暦》を中心に、子供たちに向けられたまなざしに焦点を当て、自由な発想で写真表現を追求した植田の創作の原点をたどる。あわせて、植田の写真精神を受け継ぎながら現代の視点で「思春期」を見つめ続ける写真家、牟禮朱美の展覧会では、制服という「さなぎ」に包まれた十代の少女たちの姿をとらえる。

TODA BUILDING 3Fでは、Maison Européenne de la Photographie(MEP)との国際共同企画「STUDIO+|拡張する現代写真 #2」を開催。ロンドンを拠点に活動するアントニー・ケアンズと、東京を拠点に活動するPIDAN(ピータン)の作品を紹介する。データや情報、物質とイメージ、現実とフィクションなど、様々な関係性を横断する作品群は、現代写真の新たな可能性を提示する。

アントニー・ケアンズ「PXL CTY」展示風景(MEP=ヨーロッパ写真美術館、パリ、2022)© Tadzio

写真を通して優れた表現活動を行う作家に贈られる「写真の町」東川賞(新人作家賞)をともに受賞した鈴木のぞみと上原沙也加による「写真と想像力:鈴木のぞみ & 上原沙也加 with the Higashikawa Award Collection」。東川賞受賞作と近作が展示される。想像力をキーワードに、鈴木は小さな穴を通った光の世界を可視化し、上原は沖縄という地に宿る歴史や意味へとまなざしを向ける。会場はGallery & Bakery Tokyo 8分。

鈴木のぞみ 見沼代用水通船堀をデザインした欄干の穴から緑区 埼玉 2023 「Monologue of the Light」より

東京スクエアガーデン1Fで展開される「児玉浩宜 & South Ho|T3 NEW TALENT:Trace Layers」では、T3 NEW TALENT育成対象者であるインディペンデントキュレーター・池田佳穂のキュレーションのもと、児玉浩宜とSouth Hoの2人の作家を通して、都市の表面に刻まれた痕跡から時間の重なりをたどる。

八重洲ダイビル ヤエチカ(八重洲地下街)25階段では、piczoによる展覧会「レインカネーション」が展示される。piczoは、ロンドンを拠点に活動したのち、現在は日本を拠点に国内外で活躍する写真家。本展では、写真を固定された記録ではなく、新たな意味を宿しながら生まれ変わり続ける存在としてとらえる。写真を通して、記憶と時間、そして風景との新たな関係性が浮かび上がる。

piczo reincarnation 2024

中国・内モンゴル自治区出身で、現在は京都を拠点に活動するアーティスト、アイラゴンによるインスタレーション「人類の三回目の呼吸」も、YANMAR TOKYO B1F HANASAKA SQUAREで紹介される。遊牧民の住居であるゲルを想起させる円筒形の空間に、羊毛フェルトで編まれた白い三つ編みのロープと、祖父から受け継いだ伝統歌唱「ホーメイ」、そして自然の音が響き合う。

アイラゴン 人類の三回目の呼吸 2026 ©️Ayalguun

アソシエイト展として、村越としやの「沈黙の中身はすべて言葉だった」と「富士フイルム GFX Challenge Grant Program 2025 受賞作品展」の2つが展開される。スチューデントプログラムでは、閻玥琳の「絆 / BOND」が展示される。

東京を舞台に、国内外の写真家が集結する本フェスティバル。街を歩きながら、多彩な写真表現を楽しみたい。

Art Beat News

Art Beat News

Art Beat Newsでは、アート・デザインにまつわる国内外の重要なニュースをお伝えしていきます。